ソニーGはエンタメ関連事業が好調も、半導体や家電関連事業に不安要素あり:製造マネジメントニュース
ソニーグループは、2023年度第2四半期の連結業績について発表。ゲーム分野などが好調で増収となったものの、半導体分野や家電分野などが大幅減益となったことから、営業損益や純損益は減益となった。
ソニーグループは2023年11月9日、2023年度(2024年3月期)第2四半期(7〜9月期)の連結業績について発表。ゲーム分野や映画分野音楽分野などのエンターテインメント関連事業が好調で増収となったものの、半導体分野や家電分野などが大幅減益となったことから、営業損益や当期純損益は減益となった。
エンターテインメント3事業が営業利益の6割以上を占める
ソニーグループの2023年度第2四半期の売上高は前年同期比8%増の2兆8286億円、営業利益は同29%減の2630億円、税引き前利益は同31%減の2576億円、四半期純利益は同29%減の2001億円となった。
ソニーグループ 代表執行役 社長 COO 兼 CFOの十時裕樹氏は「ゲーム事業などのゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野、音楽分野、映画分野などエンターテインメイン3事業が連結営業利益の61%を稼ぐなど、成長型の事業ポートフォリオへの変化は着実に進んでいる」と手応えについて強調する。
ただ、その一方で、世界的な景気減速や地政学的リスクによるグローバル経済の分断など事業環境の変化が激しい状況が続く他、主力事業での不安要素なども生まれている。「2024年度以降に悪材料を積み残さないように、PlayStation5(PS5)本体の普及拡大とユーザーベースの拡大、半導体などのイメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野での歩留まり向上とオペレーション改革による収益性改善などに取り組んでいく」と十時氏は語っている。
イメージセンサーは新製品の歩留まり向上に苦戦
G&NS分野は、PS5の販売拡大やゲームソフトウェアの好調、為替影響のプラス効果などがあり、増収増益となった。また、第2四半期中のPS5の販売台数は490万台となった。第1四半期の販売台数が330万台だったことから合計820万台の販売を上期で行ったことになるが、通期目標としている2500万台に対しては、1680万台が残っている。「決して簡単ではない高い目標だが、現在までのところは目標達成が十分に可能な状況だと考えている。最大の商戦期となる11〜12月に対してしっかりと準備を進めていく。ただ、販売台数を重視するあまり収益性を無視したような取り組みを行うつもりはない営業利益額を守った上でプロモーションや販売展開を進めていく」と十時氏は述べている。
苦戦が続くI&SS分野は、為替の影響などのプラス効果はあるものの、モバイル機器向けイメージセンサー新製品の量産立ち上げについての歩留まり向上に苦戦しており、さらに産業/社会インフラ向けイメージセンサーが減収となり、増収減益の結果となった。十時氏は「スマートフォン市場の低迷は中国では底打ち感が出てきたが、北米は大幅減の状況が続いている。市場の回復は2024年度以降だと予測する。ただ、その中でもハイエンド製品を中心にイメージセンサーの大判化やモバイルセンサーの価格向上などの動きは続いている」と環境について述べる。
苦しんでいる新製品の歩留まりについても着実に改善は進むものの、なかなか解決には至らない状況だ。さらに、新規事業として期待される車載センサーについても納入顧客の自動車販売が伸び悩んだ点や、ADAS(先進運転支援システム)関連の伸びが想定を下回ったとしている。「歩留まりは一定の形で改善しつつある。開発、設計、製造の総点検を進めているところだが影響は2024年度まで残る」(十時氏)。
家電事業を中心としたエンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)分野は、テレビの販売が苦戦し減収減益となった。「テレビが厳しい一方、デジタルカメラやヘッドフォンなどは堅調だ。テレビ事業は保守的に見直し、販売リスクや在庫リスクを管理していく」(十時氏)。
通期業績予想は上方修正
これらの不安材料はあるものの、2023年度通期の業績予想は、好調事業のけん引や為替の好影響などもあり、売上高、税引き前損益、純損益で上方修正を行っている。売上高は前回予想比2000億円増の12兆4000億円、税引き前利益は同200億円増の1兆1600億円、当期純利益は同200億円増の8800億円としている。
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