ソニーGはコンテンツIPとイメージセンサーの投資強化へ、金融事業はスピンオフ:製造マネジメントニュース(1/2 ページ)
ソニーグループ(ソニーG)が経営方針を説明。2024年度以降の次期中期経営計画に向けて、コンテンツIPやイメージセンサーへのさらなる投資を継続しつつ、金融事業についても成長拡大を目指すためパーシャルスピンオフを検討していることを明らかにした。
ソニーグループ(ソニーG)は2023年5月18日、東京都内とオンラインで会見を開き、経営方針について説明した。2024年度以降の次期中期経営計画に向けて、映画や音楽、ゲームなどエンターテインメント分野のコンテンツIP(知財)やスマートフォン向けを中心に高シェアを維持するイメージセンサーへのさらなる投資を継続しつつ、ソニー生命やソニー銀行などの金融事業を手掛けるソニーフィナンシャルグループの成長拡大に向けた投資を株式市場から調達することを目的に、同グループをソニーグループ傘下に置きつつ株式上場させるパーシャルスピンオフの検討を明らかにした。
今回検討しているパーシャルスピンオフでは、ソニーグループがソニーフィナンシャルグループの株式を20%弱保持することで、商号を含むソニーブランドの活用と、ソニーグループ各社とのシナジー創出を継続できるようにする。スピンオフの実行予定時期は未定だが、2025〜2026年度の実行を念頭に置いて2023年度末に向けて検討を進めるとしている。
ソニーフィナンシャルグループは2020年5月に株式公開買付けで完全子会社化していたが、その狙いは親子上場の解消にあった。完全子会社化によって、ソニーグループの一員としての経営体制の最適化などが進む一方で、さらなる成長に向けてはより多くの投資が必要となっている。そこで、政府が2023年度から導入を始めたパーシャルスピンオフ制度により、ソニーグループの一員としてソニーブランドやソニーグループのインフラを活用できる体制を維持しながら、株式市場からの投資資金調達を進めたい考えだ。
パーシャルスピンオフ制度では、スピンオフする子会社の20%未満の株式を保持していても株主に対する現物配当やスピンオフ元親会社の譲渡損益に対する課税を対象外とする措置を受けられる。2017年度に導入されたスピンオフ制度は、親会社が子会社の株式を保持しないことが税制措置の条件となっておりハードルが高いといわれている。なお、スピンオフ制度の採用事例では、東芝が2021年11月に発表した3つの独立会社への分割案がある(同案は2022年4月に撤回)。
ソニーグループ 代表執行役 社長 COO 兼 CFOの十時裕樹氏は「今後の競争環境の中でコンテンツIP、イメージセンサーにはさらなる投資が必要になる可能性がある。これらと並行してソニーフィナンシャルグループにも成長投資を続けるには、パーシャルスピンオフの活用による株式上場が最適ではないかと考えた。パーシャルスピンオフでソニーフィナンシャルグループがソニーグループ傘下から外れるわけではなく、シナジー創出を継続できるようにしていく」と語る。
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