コニカミノルタが描く勝ち筋、モノづくりの要所を押さえて得られる価値とは(後編):製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
コニカミノルタはインダストリー事業の戦略について発表した。後編では自動車外観検査事業と半導体製造装置用光学コンポーネント事業について紹介する。
10年以上の関係性を構築する半導体製造装置用光学コンポーネント事業
光学コンポーネント事業における新規分野として注力しているのが、半導体製造装置用光学コンポーネント事業だ。もともとコニカミノルタでは、光学技術や、精密加工技術や材料技術などを強みとしており、光ディスク用ピックアップレンズや、映画館で使用される高輝度のプロジェクター用光学ユニットなど幅広い光学製品を展開してきた。半導体製造装置向け光学コンポーネントも10年以上にわたって提供し、大手製造装置メーカーと確かな信頼関係を構築している。
ただ、あらゆる産業でデジタル化が進展する中で、半導体需要は中長期的にも大きく成長すると見られており、それに伴い半導体製造工程も多様化や複雑化している。これらの半導体製造装置で使われる光学コンポ―ネントへの要求も多様化が進んでいる。そこで、コニカミノルタが得意な領域に絞り込んで、新たな需要獲得を進めていく考えだ。コニカミノルタでは、従来は高精度のプロジェクタ用レンズやカメラ用交換レンズなどUV(紫外線)からVisible(可視光、VIS)までの波長域の製品を展開し、半導体製造装置用の光学コンポーネントについてもこの領域で力を発揮してきた。
主要サプライヤーが微細化に進む“隙間”を狙う
今後の成長に向けては、1つはUVからVISのミドル領域におけるシェア拡大を進めるとともに、入り込めていないDUV(深紫外線)、VUV(真空紫外線)領域への拡大を進める方針だ。
ミドル領域でのシェア拡大に向けた勝算について、コニカミノルタ 執行役員 光学コンポーネント事業部長の野村由之氏は「ミドル領域の最終製品はパワー半導体向けなどが中心で、EV(電気自動車)需要増加などにより市場が大きく拡大している。一方で、半導体の微細化が進み、主要サプライヤーはより波長の短いハイエンド領域にシフトしており、ミドル領域における安定供給力やカスタマイズ力が低下している。これらに応えていくことでまだまだシェアを伸ばす余地がある」と語っている。
これらの成長を推進するために積極的な投資も推進する。「今までの光学コンポーネント事業の投資は、設備を維持するための小規模な投資や既存技術領域における短期的な研究開発投資が中心だった。今後は数十億円規模の設備投資を行う方針だ。半導体製造装置用光学コンポーネントの専門部署立ち上げや人員増強、次世代技術の導入に取り組み、2030年度にCAGR20%以上の成長を目指していく」と野村氏は述べている。
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