着々と開発進むコニカミノルタの画像IoT技術、検査や搬送など生産現場への応用も:組み込みイベントレポート
コニカミノルタがNVIDIA主催のオンラインイベント「NVIDIA AI DAYS 2022」(2022年6月23〜24日)の初日に行われた「EDGE DAY」で講演し、技術開発を進めている「FORXAI」の活用事例などを紹介した。
コニカミノルタ FORXAI開発センター AI技術開発部 テーマリーダーの山野文子氏が、NVIDIA主催のオンラインイベント「NVIDIA AI DAYS 2022」(2022年6月23〜24日)の初日に行われた「EDGE DAY」で講演し、技術開発を進めている「FORXAI」の活用事例などを紹介した。
FORXAIは、これまでカメラや複合機など人々の“見たい”というニーズに応えてきたコニカミノルタが2020年から提供している画像AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)プラットフォームだ。エッジデバイスで動くAIアルゴリズムを提供する「FORXAI Imaging AI」、目的に合った画像やデータを収集し、データ処理をする「FORXAI Edge Device」、その2つをつなげる「FORXAI IoT Platform」の3つで構成される。
FORXAIで特徴的なのは人行動を分析する技術だ。複数の人物の骨格や物体の輪郭を検出、追跡したり、人物の行動や属性を認識したりすることができる。2022年6月16日には、FORXAIの骨格検出技術がNVIDIAの小型AIコンピュータ「Jetson AGX Orin」により従来比20倍の速度で動作することが発表された。
これらはコニカミノルタが展開するサービスにも使われている。介護施設向け見守りシステム「HitomeQ」は、介護施設で入居者が転倒したりすると、天井に付けたカメラの映像からAIが状況を検知し、スタッフのスマートフォンに通知する。来店者の行動解析サービス「Go Insight」は、同じく天井に付けたカメラの映像データを処理し、それぞれの来店者が商品棚の前でどのような行動を取っているのかを解析することができるという。
生産工程の不良検知においても応用が進んでいる。山野氏は「欠陥検査などでは不良品のデータや画像が得づらいという問題が起こるが、現在、50万枚ほどの良品の画像と数枚の不良品の画像を学習させることで不良品を検知する技術を開発している。自動車塗装の欠陥検査も手掛けており、ルールベースの検査にAIアルゴリズムを導入して、さらなる検査精度の向上を目指している」と話す。
FORXAIのより多彩な提案を行うため、コニカミノルタは自社だけではなく技術パートナー、ソリューションパートナーとともに共同開発などを進めるパートナープログラムを展開、2022年4月1日までに技術パートナー、ソリューションパートナーを合わせて49社が加盟している。
パートナー企業と共同で展開した導入事例も紹介された。NECと共同開発する工場向けの事例では、荷物を運ぶAGVに取り付けたカメラにFORXAI Imaging AIの技術を組み合わせ、カメラの映像から人や障害物を検知し、それらを避けながらルートを再設定、目的の場所まで荷物を運ぶことができるようになった例が挙げられた。
また、GROOVE Xの家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」に搭載されたカメラにFORXAIの骨格検出技術を導入し、目線の高さを合わせるようにしゃがむ動作をカメラが捉えると、ロボットが人に向かって近づいていく機能につながったという。
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