44色以上の蛍光同時検出と分取ができる細胞分析装置を発売:医療機器ニュース
ソニーは、細胞分析装置の新商品として、44色以上の多色解析と分取ができるスペクトル型セルソーター「FP7000」を発表した。重複する蛍光色素のスペクトル情報をリアルタイムで高精度に分離する。
ソニーは2023年10月10日、44色以上の多色解析と分取ができるスペクトル型セルソーター「FP7000」を発表した。細胞分析装置(フローサイトメーター)の新製品で、2024年秋に発売する。
FP7000は、波長の異なる最大6つのレーザーと182個の蛍光検出器を備え、44色以上の蛍光、自家蛍光を検出できる。さまざまなノズルに対応する堅牢なシース加振技術を用いて、12〜100kHzの液滴形成周波数、70〜600kPaの圧力範囲で安定した液滴を形成。これにより、特定の細胞を安定的に分取できる。
分析性能も高く、独自のリアルタイムアンミキシング技術により、重複する蛍光色素のスペクトル情報を各色素に分離し、蛍光波長のピークが似ている蛍光試薬や蛍光タンパク質を高精度に分離する。最大6方向へ毎秒2万5000回の高速分取が可能だ。
自家蛍光ファインダーを用いて複数の細胞集団から自家蛍光を識別、分離することで、正確なデータが得られる。不均一な細胞集団から微弱な蛍光シグナルを検出できるため、免疫学、細胞生物学、がん領域などの多様化する研究ニーズに対応する。
また、レーザー光の光軸調整や液滴のキャリブレーション、分取の電気的なタイミング調整など主要な操作を自動化した。蛍光の波形形状情報などを容易に登録、検索、参照できるライブラリーやガイド付きワークフローを備え、研究者の経験を問わず使用できる。
FP7000は、同社のスペクトル型セルアナライザー「ID7000」と同等の光学性能を持ち、ID7000の多色分析結果を転用可能だ。
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