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「富岳」の活用に踏み切れない民間企業のために、手続きの支援サービス提供開始:製造ITニュース
JSOLと理研数理は、スーパーコンピュータ「富岳」の民間利用を支援する「『富岳』利活用コンシェルジュ」の提供を開始した。課題の選定や申請、必要書類の準備、利用報告書の提出といった手続きを支援、代行する。
JSOLは2023年9月21日、理研数理と共同で、スーパーコンピュータ「富岳」の民間利用を支援する「『富岳』利活用コンシェルジュ」の提供を開始した。
富岳は2021年から産業界にも開放されており、企業利用が可能となっている。富岳を利用することで、研究や開発などに必要となる膨大な計算時間を短縮できることから、現在、製品設計や材料開発、創薬など幅広い領域で活用されている。
富岳を使うには、まず利用目的や計算資源量に応じた課題の種類を選択して利用申請する必要がある。また、申請した課題は内容の審査があり、選定されて利用した後には、60日以内に利用報告書を提出しなければならない。このように、利用方法が分かりづらい、利用経験者が少なく相談しにくい、といったことが原因となろ、利用に踏み切れないケースも多かったようだ。
今回提供開始する支援サービスでは、富岳の産業界向け利用マニュアルの作成に携わったJSOLと理研数理の両社が、利用を希望する企業に適した課題種類の選定や申請、必要書類の準備、利用報告書の提出など、富岳利用に関する手続きを支援、代行する。
加えて、業務課題を解決するために富岳を利活用する方法の提案や、理化学研究所など学術研究機関とのつながりを生かした共同研究のコーディネートといった、顧客の要望にも対応する。
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