富岳がスパコン性能ランキングなど4部門で4期連続世界1位を獲得:製造ITニュース
富士通と理化学研究所が共同開発したスーパーコンピュータ「富岳」が、国際的なランキング「TOP500」「HPCG」、性能ベンチマーク「HPL-AI」、機械学習処理ベンチマーク「MLPerf HPC」でそれぞれ世界1位を獲得した。
富士通は2021年11月16日、理化学研究所と共同開発したスーパーコンピュータ「富岳」が、国際的なランキング「TOP500」「HPCG」、性能ベンチマーク「HPL-AI」でそれぞれ4期連続の世界第1位を獲得したと発表した。さらに同月18日には、機械学習処理ベンチマーク「MLPerf HPC」でも世界第1位を獲得している。
第58回となるスーパーコンピュータの性能ランキングTOP500では、432筐体(15万8976ノード)の構成でシステムを登録。ランキングの指標となるLINPACK性能は442.01PFLOPS(ペタフロップス)、実行効率は82.3%となった。
HPCG(High Performance Conjugate Gradient)は、産業向けアプリケーションで用いられる共役勾配法の処理速度のランキング。測定には432筐体(15万8976ノード)を使用し、16.00PFLOPSのベンチマークスコアを記録した。
2019年11月に制定されたHPL-AIは、AI(人工知能)の深層学習などで用いる単精度や半精度演算器などの能力を加味した計算性能を評価する。測定では、432筐体(15万8976ノード)を用いて、2.004EFLOPS(エクサフロップス)のスコアを達成した。
さらにMLPerf HPCでは、3つあるベンチマークプログラムのうち、宇宙論的パラメーターを予測する「CosmoFlow」で世界最高速度を達成。富岳の約半分の規模を使ってスループット性能を評価し、深層学習モデルを8時間16分で637個、1分あたり約1.29個の学習に成功した。他システムと比較して、約1.77倍の性能差となった。
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