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スパコン性能ランキングで日本がトップに、TOP500は「富岳」でGreen500は「MN-3」製造ITニュース

2020年6月22日に、オンラインで開催中のHPCの国際会議「ISC2020」で発表された複数のスーパーコンピュータランキングにおいて、日本のシステムが1位を獲得した。TOP500の1位は理化学研究所と富士通が共同開発した「富岳」、Green500の1位はPFNが開発した「MN-3」が入った。

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 2020年6月22日(現地時間)に、オンラインで開催中のHPCの国際会議「ISC2020」で発表された複数のスーパーコンピュータランキングにおいて、日本のシステムが1位を獲得した。理化学研究所と富士通が共同開発したスーパーコンピュータ「富岳」は、性能ランキングとして広く知られる「第55回TOP500リスト」の他、「HPCG(High Performance Conjugate Gradient)」、「HPL-AI」、「Graph500」で1位となった。また、Preferred Networks(以下、PFN)が開発した深層学習用スーパーコンピュータ「MN-3」は省電力性能ランキングである「Green500リスト」で1位を獲得した。【訂正あり】

【訂正】当初、理化学研究所と富士通のニュースリリースに合わせて「第58回TOP500リスト」と表記していましたが、正しくは「第55回TOP500リスト」の誤りでした。本文は既に修正しています

スーパーコンピュータ「富岳」
スーパーコンピュータ「富岳」(開発・整備中) 出典:富士通

 今回のTOP500リストに登録した「富岳」のシステムは、396筐体(15万2064ノード、全体の約95.6%)の構成で、ランキングの指標となるLINPACK性能は415.53PFLOPS(ペタフロップス)、実行効率は80.87%だった。日本のスーパーコンピュータがTOP500で第1位を獲得するのは、「京」の2011年11月(第38回TOP500リスト)以来となる。

 TOP500リスト2位の米国の「Summit」は、LINPACK性能が148.6PFLOPSであり、富岳はその2.8倍の性能をたたき出したことになる。

 TOP500だけでなく、産業利用など実際のアプリケーションでよく用いられる共役勾配法の処理速度の国際的なランキングであるHPCG、AI(人工知能)の深層学習で主に用いられる単精度や半精度演算処理に関する性能ベンチマークであるHPL-AI、大規模かつ複雑なデータ処理が求められるビッグデータ解析の重要指標である大規模グラフ解析の性能を示すGraph500でも1位を獲得したことも大きな意味を持つ。「新たな価値を生み出す超スマート社会の実現を目指すSociety5.0において、シミュレーションによる社会的課題の解決やAI開発および情報の流通・処理に関する技術開発を加速するための情報基盤技術として富岳が十分に対応可能であることを実証するものだ」(ニュースリリースから抜粋)という。

 なお、Graph500の1位獲得については、理化学研究所、九州大学、フィックスターズ、富士通の4者による共同研究グループの成果によるものだ。

PFNが開発した深層学習用スーパーコンピュータがGreen500のトップに

 一方、PFNのMN-3は、スーパーコンピュータの電力あたりの演算性能を示すHPL(High Performance Linpack)ベンチマークで21.11GFLOPS/Wの処理性能を実現した。これは、Green500リストの歴代最高性能である18.404GFLOPS/Wの1.15倍に当たる。

 MN-3は、PFNと神戸大学が共同開発した超低消費電力の深層学習用プロセッサ「MN-Core」を搭載。JAMSTEC(海洋研究開発機構)の横浜研究所 シミュレータ棟に設置され、2020年5月より稼働を開始している。

PFNの深層学習用スーパーコンピュータ「MN-3」
PFNの深層学習用スーパーコンピュータ「MN-3」(クリックで拡大) 出典:PFN

 今回の測定に使ったシステムは、MN-3全体のうち40ノード、MN-Core160個で構成されている。MN-Coreの他にも、高速で高効率のノード間データ転送を実現するインターコネクト「MN-Core DirectConnect」や、HPLベンチマークの中核部分である倍精度行列積演算を効率化する最適化技術、多数のMN-Coreを集約して電力効率を最大化する技術などが役立っているという。

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