射出制御の応答性能と精度を向上した小型精密部品向け射出成形機の新シリーズ:FAニュース
ソディックは、小型精密部品向けの高応答射出成形機「LP_EH4」シリーズを発表した。可塑化部と射出部から成る独自のV-LINE方式と油圧サーボ制御技術を搭載し、正確で再現性の高い成形が可能だ。
ソディックは2023年10月2日、小型精密部品向けの高応答射出成形機「LP_EH4」シリーズを発表した。同年11月から販売する。価格は10t(トン)仕様の「LP10EH4」が1060万円から、20t仕様の「LP20EH4」が1100万円から(いずれも税別)で、シリーズ全体で年120台の生産を目標にする。
射出成形機「LP_EH3」の後継となる新シリーズは、可塑化部と射出部から成る独自のV-LINE方式と油圧サーボ制御技術を搭載し、正確で再現性の高い成形に対応する。射出制御バルブにはLDDV(リニアダイレクトダブルモーターバルブ)を採用し、幅広い加減速度設定が可能になったことで、精密、電子、光学、医療機器などの小型精密部品の成形に適している。
LP20EH4には、これまでの直圧型締機構に加えて、シンメトリック機構を採用した。金型面圧分布と熱膨張による伸縮が中心より均等になり、成形品のセンターずれを抑える。これにより、正確な型締姿勢と高剛性を維持して、型閉から型締への移行がスムーズになり、歩留り率の向上に寄与する。
自社開発の通信システムで射出制御の応答性能が向上した他、ヒーター温度をより緻密に制御可能な高精度温調システムを採用し、安定した高精度成形が可能になった。また、周辺機器の入出力信号をANDかORで設定できる「論理IO」は、前シリーズではオプションだったが、LP_EH4では標準搭載となった。
操作画面は大型化して19型にした。視認性が向上しただけでなく、機械状態データのグラフィカル表示、サイクルチャートのリアルタイム表示を追加し、表示する情報量が増加した。操作しやすい画面スイッチ配置に加え、波形表示画面ではピンチインアウト、スワイプなどスマートフォンのように操作することもできる。
セーブモードを選択すると、成形機のフルスペックに対して型締力や射出圧力などの成形条件が低く設定された場合に、消費電力を従来機比で約11%低減する。安全面では、新国際安全規格ISO20430(JIS B 6711)に準拠している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 加工時間が最大45%減、ソディックの新型リニアモーター駆動大型形彫り放電加工機
ソディックは、リニアモーター駆動の大型形彫り放電加工機の新機種「AL100G」を発売した。放電制御の刷新、AI機能やIoTプラットフォームの搭載により、加工時間を最大45%短縮、消費電力を30%低減した。 - ソディックが射出成形機のサービス拠点を名古屋に開設、将来は北関東にも設置へ
ソディックは、射出成形機の技術サポートおよびアフターサービスを提供する「名古屋IMMセンター」を愛知県名古屋市に設立し、2023年5月より稼働を開始する。 - ソディックが中国に新工場建設、射出成形機や食品機械の需要拡大に対応
ソディックは中国福建省厦門市の厦門工場内に建設していた新工場が完工し、同月から稼働を開始したと発表した。 - ワイヤや電力の消費量を削減し生産性も向上、新開発制御搭載のワイヤ放電加工機
ソディックは、リニアモーター駆動ワイヤ放電加工機「AL i Groove+Edition」を発売する。放電回路と制御の改善により加工速度と精度を向上し、消費電力量を減らすなど、脱炭素化社会へ向けた取り組みを図る。 - カーボンニュートラルの実践工場で脱炭素社会に適した工作機械を生産
ソディックは、油加工液仕様のリニアモーター駆動ワイヤ放電加工機「AX350L」を発表した。優れた位置決め性能と再現性を備えており、長時間の安定加工や自動化、省力化ニーズに応える構造、機能を搭載する。 - 大型サイズの安定造形が可能に、ソディックが新型金属3Dプリンタ開発
ソディックは大型サイズの安定造形を実現した金属3Dプリンタ「LPM450」を開発、発売したと発表した。