ワイヤや電力の消費量を削減し生産性も向上、新開発制御搭載のワイヤ放電加工機:工作機械
ソディックは、リニアモーター駆動ワイヤ放電加工機「AL i Groove+Edition」を発売する。放電回路と制御の改善により加工速度と精度を向上し、消費電力量を減らすなど、脱炭素化社会へ向けた取り組みを図る。
ソディックは2022年11月7日、リニアモーター駆動ワイヤ放電加工機の新シリーズ「AL i Groove+Edition」を同年12月に発売すると発表した。計8モデルを用意し、価格の例として、「ALN400Q」が1800万円から、「AL600G」が2250万円からとなる(各税別)。
同シリーズは、放電回路と制御の改善により、加工速度の20%アップと加工精度の向上を両立した。また、消費電力量を20%削減し、ワイヤ消費量を減らすなど、脱炭素化社会へ向けた取り組みも進めている。
新開発の放電加工制御「Digital HF制御」は、放電電圧の挙動や変化を放電パルスごとに細かく検出することで、加工速度と品質が向上。独自のワイヤ回転機構は、ワイヤを緩やかに回転させて電極消耗による加工への影響を排除し、加工性能を高めた。また、ワイヤ使用量を最大30%削減する。
噴流や加工液循環、加工液温最適調整など、加工液処理系に用いられる電力は全体の約7割を占めている。そのため、加工液の噴流、循環、送液ポンプをフルインバーター化し、それぞれの動作を最適にコントロールすることで消費電力量を従来比で20%削減した。
他にも、セラミックスを多用して熱変位を抑制する高剛性機械構造や、熱変位補正機能「TH COM」の標準搭載、CNC装置に消費電力量や消耗品使用量を表示する「ECO Collection」機能などで消費電力量の削減を図る。自動化に向けたオプションも拡充している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 進む製造機械の「知能化」、学習済みAIを搭載する動きが拡大へ
AI(人工知能)の活用が広がりを見せている。こうした中で、新たな動きとして定着が進んでいるのが、工作機械や射出成形機など、製造機械へのAI機能の組み込みである。2022年はこうした動きがさらに加速し、AIの学習までを機械メーカーが担って出荷する動きが進む見込みだ。 - 進む産業機械のスマートフォン化、標準化とオープン化がカギに
スマート工場化が進む中、工場内の生産機械や設備にも生産情報や設備情報などを活用するために「つながる」ことが求められるようになってきている。こうした環境に合わせる形で、生産機械についても協調領域については「水平分業型」へのシフトが加速する見込みである。 - 大型サイズの安定造形が可能に、ソディックが新型金属3Dプリンタ開発
ソディックは大型サイズの安定造形を実現した金属3Dプリンタ「LPM450」を開発、発売したと発表した。 - 金属3Dプリンタで多様な試験造形が可能、ソディックがアタッチメント方式ユニット発売
ソディックは、1台の金属3Dプリンタでさまざまな粉末の試験造形ができる「Material Trial Unit」シリーズを発表した。アタッチメント方式の採用により取り扱いやすく、試験造形に柔軟に対応する環境の整備が可能になる。 - 広がる金属3Dプリンタと工作機械の融合、それぞれの技術方式の特徴
2020年11月16〜27日にオンラインで開催された「第30回 日本国際工作機械見本市(JIMTOF 2020 Online)」において、主催者セミナーとして、東京農工大学 工学府 機械システム工学専攻教授の笹原弘之氏が登壇。「金属材料のAdditive Manufacturingの基礎から見える未来予想」をテーマとし、金属AMの代表的ないくつかのプロセスの基本原理とメリットやデメリットについて述べるとともに、国内外の金属AMの最新動向について紹介した。 - 積み重ねと繰り返しの信頼を、三菱電機がJIMTOFで新たなモノづくり支援提案
三菱電機ではJIMTOF2022で、「絶えまない進化を、あなたのものづくりへ」をコンセプトに、製品ライフサイクルを通した新たなものづくり支援を展示する。JIMTOF2022を通して何を訴えるのか、三菱電機 産業メカトロニクス事業部長の田代勝氏に話を聞いた。