高機能液状樹脂の市場、価格高騰が一服し金額ベースは前年比7.2%減:製造マネジメントニュース
富士経済は、高機能液状樹脂の世界市場を調査し、その結果を「高機能液状樹脂製品関連市場の現状と将来展望 2023」として発表した。長期的には、数量、金額ともに伸びると予測している。
富士経済は2023年9月29日、高機能液状樹脂の世界市場を調査し、その結果を「高機能液状樹脂製品関連市場の現状と将来展望 2023」として発表した。2023年は前年比7.2%減の320億1900万ドル(4兆7260億円)になる見込みだ。
高機能液状樹脂は、塗料や接着剤、インキ、半導体、電子基板などの原材料として、高い機能や環境性能を備えた樹脂を指す。同調査では、電材用樹脂7品目、機能性樹脂11品目、石油樹脂5品目、水系・天然樹脂6品目の計29品目と、硬化剤4品目、添加剤5品目を分析した。
2023年の同市場は、数量ベースでは緩やかな伸びを予想しつつも、金額ベースでは2022年比7.2%減の320億1900万ドルを見込む。2022年に高騰した原材料価格が、2023年に大幅に低下したことが影響している。長期的には、電材用樹脂の需要回復やアジア地域を中心とした新興国での需要増から、数量、金額ともに伸長し、2027年には同9.7%増の378億8100万ドル(5兆6063億円)に達すると予測している。
電材用樹脂のうち、リチウムイオン二次電池(LiB)の正極材、負極材のバインダーに用いるLiBバインダー用樹脂市場は、2024年以降の拡大が予想される。正極材向けバインダー用樹脂に用いるポリフッ化ビニリデン(PVDF)の供給不足を起因とした価格高騰が沈静化し、2023年は市場がいったん縮小するものの、今後は電気自動車(EV)のエントリーモデルへの搭載が増えているリチウムリン酸鉄(LFP)系正極材が、市場拡大をけん引するとみられる。
タイヤのグリップ力や耐久性の向上のために添加される石油樹脂(C5C9共重合)は、2027年に2022年比16.2%増の3億3000万ドル(488億円)に伸びると推計する。低燃費や耐摩耗などのEV向けタイヤ、エコタイヤを中心に、需要が伸長する予測だ。
水系ウレタン樹脂とも呼ばれる水系・天然樹脂のポリウレタンディスパージョンや機能性樹脂のポリウレアは、環境意識の高まりから、低VOC(揮発性有機化合物)として需要が増えている。
電材用樹脂のフォトレジスト用樹脂は、通信量の増加や自動車の自動運転化などで半導体需要の大幅な増加が見込まれ、半導体向け製品が市場をけん引する見込みだ。
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