富士経済は2021年7月9日、電動車の2035年の市場予測を発表した。
2035年に、48Vのマイルドハイブリッドを除くHEV(ハイブリッド車、図表ではHV)は2020年比5.1倍の1359万台、PHEV(プラグインハイブリッド車、図表ではPHV)は同11.9倍の1142万台、超小型モビリティを除くEV(電気自動車)は同11.0倍の2418万台に拡大すると見込む。
HEVは、エンジン車からの移行が増える他、ASEANでは低価格なコンパクトカーでHEVの需要拡大を見込む。PHEVは2030年以降、北米や電力供給が不安定な新興国が市場をけん引するという。EVは価格低減によって販売が増加し、市場規模は2022年にHEVを上回ると想定している。
なお、2020年の電動車市場は、PHEVが前年比65.5%増の96万台、EVが同31.7%増の220万台、HEVが同5.9%増の269万台だった。
それぞれの車種をけん引する要因は
HEVの2035年の市場は、日本が2020年比2.2倍の187万台、中国が5.2倍の253万台と予測する。燃費など環境性能とコストパフォーマンスが両立できるため、環境車として補助金の対象にならない国でも乗り換えが進んでいるという。HEVの技術を持つ日系自動車メーカーが製品展開を強化することにより、市場は堅調に拡大するとしている。北米でもHEVの需要拡大が期待できる他、HEVの低価格化や小型化が進めば、ASEANやインドでも市場が拡大する見込みだ。
PHEVはEV普及までのつなぎ役として重要な役割を果たすという。2035年の市場は、欧州が2020年比6.5倍の399万台、中国は2025年ごろから需要拡大が加速し同16.1倍の402万台まで伸びると想定する。2030年以降は、バッテリーの価格低下が市場の成長を後押しするが、EVよりも価格低減が緩やかだという。ピックアップトラックなど大型車のPHEV化が北米での需要をけん引する。
EVはエンジン車から撤退する自動車メーカーが増えていることに加え、中国を中心に安価なEVが普及し平均車両価格が低下することからユーザー拡大を見込む。
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