トヨタは2030年の電動車販売を550万台から800万台に、HEVとPHEVはEV走行がカギ:電気自動車(1/2 ページ)
トヨタ自動車は2021年5月12日、オンラインで会見を開き、2020年度(2021年3月期)の通期決算と2021年度(2022年3月期)の業績見通しを発表した。
トヨタ自動車は2021年5月12日、オンラインで会見を開き、2020年度(2021年3月期)の通期決算と2021年度(2022年3月期)の業績見通しを発表した。
2020年度の業績は営業収益が前年度比8.9%減の27兆2145億円、営業利益が同8.4%減の2兆1977億円、当期利益が同10.3%増の2兆2452億円だった。中国の合弁事業などを含めない連結販売台数は同14.6%減の764万台、トヨタブランドとレクサスブランドの販売台数は同4.0%減の908万台となった。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、上半期は販売台数が大きく減少したが、下半期には複数の地域で前年同期の実績を上回った。所在地別の営業利益を見ると、北米やアジアは営業面の努力や原価改善により増益を確保した。中国事業ではトヨタ・レクサスブランドの販売台数が前年度から29.6%増のプラスで、営業利益も増加した。
通期決算での営業利益の増減要因としては、販売台数の減少で2100億円、為替変動の影響で2550億円の減益となったが、原価改善で1500億円、諸経費の低減で700億円を生み出した。為替やスワップの影響を除くと、販売台数減少による減益を原価改善と諸経費の低減で補い100億円のプラスとなっている。
電動車の販売実績も公表した。トヨタ・レクサスブランドでの販売のうち電動車は23.7%を占める。台数は前年度比12.3%増の215万台で、このうちハイブリッド車(HEV)が208.7万台(前年度比12.3%増)、プラグインハイブリッド車(PHEV)が5.9万台(同2.0%増)、電気自動車(EV)が6000台(比較なし)、燃料電池車(FCV)が3000台(同43.8%増)だった。
2020年度のカイゼンを定着させる1年に
2021年度の業績予想は営業収益が前年度比10.2%増の30兆円、営業利益が同13.8%増の2兆5000億円、当期利益が同2.4 %増の2兆3000億円とした。連結販売台数は同13.8%増の870万台、トヨタ・レクサスブランドでは同5.6%増の960万台の販売を計画している。このうち、電動車は同29.9%増の280万台を見込む。HEVが同28.0%増の267万台、PHEVが同68.2%増の10万台、EVは2万台、FCVは1万台でそれぞれ3倍以上に増やす。
2021年度の生産台数はトヨタ・レクサスブランドで930万台とした。車載半導体の供給不足によるリスクを織り込んだ上で、前年度から13.6%増となる。トヨタ自動車 執行役員の近健太氏は車載半導体の供給について予断を許さない状況としながらも、「リーマンショックや東日本大震災を受けて、減災対策や在庫の在り方、代替品の評価方法について地道に検討してきた。以前は供給が厳しい部品を見直すプロセスが多かったが、評価を効率化し、スピーディーに代替品を評価できるようにした。こうした長年の取り組みが成果として出ているのではないか」とサプライチェーンの強みを述べた。
原価改善では2021年度に3000億円レベルの改善を行うが、材料コストの増加が上回る想定だ。近氏は「前年度に取り組んだ改善や変革をいかに定着できるか、という正念場になる。将来的に損益分岐台数をもっと下げて投資の余力を生むためにも、この1年の取り組みを定着させていく必要がある」とコメントした。
販売台数の増加により、2021年度の営業利益の予想のうち営業面で8500億円のプラスを見込む。諸経費は3500億円増加するが、電動化、工場のCO2排出削減、ソフトウェア開発、コネクテッド技術などにリソースを積極的に投入する。「闇雲に追加するのではなく、必要なものに投資する。必要ないものは思い切ってやめ、その余力で新たな投資を生む」(近氏)。研究開発費は前年度比6.3%増の1兆1600億円、設備投資は同4.3%増の1兆3500億円を計画している。
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