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2020年度の新車生産、各社が受けた新型コロナのダメージは自動車メーカー生産動向(1/4 ページ)

2020年度の自動車産業は、通期で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響に左右される1年となった。日系乗用車メーカー8社の2020年度(2020年4月〜2021年3月)のグローバル生産は、全社が前年度実績を下回り、8社合計では前年度比12.1%減と2桁%減となった

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 2020年度の自動車産業は、通期で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響に左右される1年となった。

 日系乗用車メーカー8社の2020年度(2020年4月〜2021年3月)のグローバル生産は、全社が前年度実績を下回り、8社合計では前年度比12.1%減と2桁パーセント減となった。COVID-19感染拡大により4〜6月にかけて世界各国でロックダウンなどを理由に生産停止が相次いだためで、7月以降は本格的に回復し月別で過去最高などを記録したものの、年度序盤の大幅な落ち込みはカバーしきれなかった。加えて2021年に入ってから続いている世界的な半導体不足も回復に水を差している。

→「自動車メーカー生産動向」のバックナンバーはこちら

 主要国の自動車需要自体は回復傾向が進んでおり期待が持てる一方で、変異株などCOVID-19の感染拡大は依然として収束のめどが立っていない他、港湾の混乱による部品供給への影響、さらには深刻な状況が続く半導体不足なども重なり、2021年度も自動車生産を取り巻く環境は不透明な情勢だ。

 2020年度の自動車生産は、地域によって状況が大きく異なった。初期にCOVID-19の感染が広がった中国は、国を挙げて徹底した感染防止策が奏功し、いち早く生産活動を再開。市場の回復と合わせて年度トータルの生産では、台数の多いトヨタ自動車、ホンダ、日産自動車の3社がそろって2桁パーセント増を達成し、年度の過去最高を更新した。

 一方、多くの日系乗用車メーカーにとって主要市場である北米は、4月から5月にかけての生産停止が響いた他、半導体不足や港湾トラブルなどの影響もあり、マツダを除く4社が前年度の実績を下回った。COVID-19感染拡大からの回復が遅れているアジアは、東南アジアを中心に海外事業を展開するダイハツ工業と三菱自動車の海外生産が前年度から3割以上落ち込む厳しい結果だ。インドが中心のスズキの海外生産も2桁パーセント減と振るわなかった。その結果、8社合計の海外生産は前年度比10.2%減となった。

2020年度の国内乗用車メーカーの生産実績
2020年度(2020年4月〜2021年3月)
国内 海外 (うち北米) (うち中国) 合計
トヨタ 2,918,905 5,264,039 1,646,543 1,716,624 8,182,944
▲ 11.6 ▲ 3.2 ▲ 9.7 30.9 ▲ 6.4
ホンダ 687,419 3,845,167 1,397,115 1,876,879 4,532,586
▲ 14.9 ▲ 3.0 ▲ 19.5 37 ▲ 5.0
日産 517,044 3,280,143 953,430 1,603,892 3,797,187
▲ 31.8 ▲ 14.2 ▲ 28.8 16.3 ▲ 17.1
スズキ 930,116 1,721,032 - - 2,651,148
▲ 1.5 ▲ 14.8 - - ▲ 10.6
ダイハツ 917,558 477,508 - - 1,395,066
▲ 5.1 ▲ 35.8 - - ▲ 18.4
マツダ 747,610 423,704 132,518 229,547 1,171,314
▲ 23.1 ▲ 8.3 0.9 7.1 ▲ 18.3
三菱 366,772 447,057 - 80,102 813,829
▲ 40.9 ▲ 37.6 - ▲ 24.1 ▲ 39.1
スバル 524,736 285,159 285,159 - 809,895
▲ 20.9 ▲ 22.4 ▲ 22.4 - ▲ 21.4
合計 7,610,160 15,743,809 4,414,765 5,507,044 23,353,969
※上段は台数、下段は前年度比増減率。単位:台、%
※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計

 国内生産も低迷した。メーカー各社は年度序盤に、輸出需要の急減や海外部品の供給停滞などを理由に大規模な減産に踏み切った。その後は着実に回復したものの、当初の落ち込みをカバーするには至らなかった。さらに1月以降は半導体不足による減産も余儀なくされた。

 その結果、2020年度の国内生産は、登録車の販売が好調だったダイハツと、2019年度に完成検査問題でラインスピードを落としていたスズキを除く6社が2桁パーセント減となり、8社合計では前年度比15.8%減と海外以上に落ち込む結果となった。

 足元の2021年3月は回復基調が鮮明だ。前年が世界的にCOVID-19の感染が広がりはじめたタイミングだったこともあり、日本や中国、北米など主要地域で大幅増に反転した。中でもいち早く感染が広まっていた中国は、前年に比べて2〜3倍という高い伸びを示した。回復基調が続く一方で半導体不足の影響も深刻化しており、ホンダやSUBARU(スバル)などが半導体不足を理由に大きく台数を落としている。

2021年3月の国内乗用車メーカーの生産実績
2021年3月
国内 海外 (うち北米) (うち中国) 合計
トヨタ 310,934 532,459 161,015 151,590 843,393
11.4 47.1 46.4 66.8 31.6
ホンダ 65,356 348,503 118,038 161,446 413,859
▲ 10.1 71.9 12 266.1 50.3
日産 68,853 323,286 116,868 119,453 392,139
24.7 56.4 41.7 109 49.7
スズキ 96,700 205,217 - - 301,917
5.8 68.6 - - 41.6
ダイハツ 101,253 63,679 - - 164,932
11.9 14.7 - - 13
マツダ 88,411 38,897 15,139 15,623 127,308
19.1 1.9 7.6 ▲ 4.4 13.3
三菱 46,467 67,324 - 4,419 113,791
▲ 29.9 16.2 - 176.2 ▲ 8.4
スバル 48,954 20,628 20,628 - 69,582
▲ 20.9 ▲ 25.2 ▲ 25.2 - ▲ 22.2
合計 826,928 1,599,993 431,688 452,531 2,426,921
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、%
※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計

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