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2020年度の新車生産、各社が受けた新型コロナのダメージは自動車メーカー生産動向(2/4 ページ)

2020年度の自動車産業は、通期で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響に左右される1年となった。日系乗用車メーカー8社の2020年度(2020年4月〜2021年3月)のグローバル生産は、全社が前年度実績を下回り、8社合計では前年度比12.1%減と2桁%減となった

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トヨタ

 メーカー別に見ると、トヨタの2020年度のグローバル生産台数は前年度比6.4%減の818万2944台と2年連続で前年実績を下回った。ただ、上期(4〜9月)実績と比較すると減少幅は16.7ポイント改善しており、下期に大きく回復したことが分かる。

 国内生産は前年度比11.6%減の291万8905台と5年ぶりのマイナス。上期比では前年度から14.8ポイント改善し、トヨタが掲げる国内生産300万台体制に近い規模は維持した。COVID-19感染拡大による工場の一部稼働停止、国内および輸出需要の減退に伴う生産調整などが大きく響いたものの、9月以降は輸出の回復や国内市場での新型車効果により持ち直している。

 海外生産は国内以上に回復が進んでおり、前年度比3.2%減の526万4039台と4年連続の減少だが、上期に比べて17.9ポイント改善した。地域別では、主力の北米が同9.7%減の164万6543台で4年連続の減少。4、5月と大幅に落ち込んだものの、7月以降は回復基調を維持している。国別では米国は同13.1%減、カナダは同5.3%減で、メキシコは同0.1%増とプラスを確保した。アジアは同7.3%増の261万2815台で2年ぶりのプラスだった。このうち、いち早く回復した中国では「カローラ」「レビン」「RAV4」「ワイルドランナー」などが好調で同30.9%増の171万6624台と大幅な伸びを示した。

 一方、中国を除くアジアは、COVID-19感染拡大からの経済回復が遅れたため、主要市場のタイが同14.2%減、インドネシアが同42.6%減など軒並み厳しい状況だった。欧州は同9.7%減の69万7386台。年度当初は各国でのロックダウンが影響したが、ハイブリッド車(HV)の好調などに支えられ下期に挽回した。

 足元でも回復の力強さが続いている。3月単月のグローバル生産は前年同月比31.6%増の84万3393台と、7カ月連続で前年実績を上回った。中でも海外生産は同47.1%増の53万2459台と7カ月連続の増加で、コロナ禍前の2019年3月と比較しても9.6%増加した。好調をけん引したのが中国で、前年がCOVID-19感染拡大により市場が冷え込んだことに加えて、カローラや「アバロン」、RAV4などの販売が好調に推移した結果、前年同月比66.8%増の大幅増で12カ月連続のプラスとなった。

 主要市場の北米も、寒波の影響による稼働調整が発生したものの、COVID-19感染拡大により前年の生産実績が低いことや、「ハイランダー」などのライトトラックの販売が堅調で同46.4%増と大幅に伸長し、2カ月ぶりのプラスだった。回復が遅れていたアジアも、インドネシアが同13.9%減と厳しいものの、タイやフィリピン、マレーシア、インドなどその他の国は全て2桁パーセント増と好調で、中国のけん引もあり、アジアトータルでは同45.9%増と7カ月連続で増加した。欧州も前年の生産停止に対する反動で同65.8%増と急伸し、3カ月ぶりに増加した。

 国内生産は前年同月比11.4%増の31万934台と3カ月ぶりのプラス。世界各国での需要回復により輸出が伸びた他、国内市場向けも「ハリアー」や「ヤリス」などの新型車が好調だった。

ホンダ

 ホンダの2020年度のグローバル生産は、前年度比5.0%減の453万2586台と2年連続で前年割れとなったが、上期と比べると減少幅は14.5ポイント改善した。国内生産は同14.9%減の68万7419台と2年連続のマイナス。上期比では10.2ポイント改善した。

 国内市場向けは「フィット」の新型車効果の他、電動パーキングブレーキの不具合で生産停止していた「N-WGN」がフル生産だったものの、COVID-19感染拡大による市場低迷で主力の「N-BOX」や「フリード」「ステップワゴン」「ヴェゼル」などの台数が2桁パーセント減と落ち込み、北米向け輸出も7割近い減少となった。また、半導体不足の影響も大きく、特に主力モデルの新型フィットの国内販売は同23.9%増と一見好調だが、新型車効果などを加味すると期待値に届いていないと言わざるを得ない状況だ。

 一方、海外生産の回復は順調で、前年度比3.0%減の384万5167台と3年連続のマイナスとなったが、マイナス幅は8社中最も小さかった。最大市場の中国は、いち早く回復したことで同37.0%増の187万6879台と高い伸びを記録し、2年ぶりに増加するとともに年度として過去最高を更新。日系メーカーの中では台数、伸び率ともにトップだった。中国の好調により、アジアトータルでも同15.3%増の227万8911台と2年ぶりにプラスを確保した。

 一方、中国と並ぶ主力市場の北米は、COVID-19感染拡大による生産停止や寒波の影響、港湾トラブルなどにも見舞われたことで前年度比19.5%減の139万7115台と4年連続で減少した。

 また、ホンダは他社に比べて半導体不足の影響が広がっている。3月単月の国内生産では、半導体不足によりフィットや「Nシリーズ」の減産を余儀なくされ、前年同月比10.1%減の6万5356台と3カ月連続のマイナスとなった。

 海外生産でも、北米で「アコード」や「シビック」などを減産。3月の北米生産は前年同月比12.0%増と3カ月ぶりにプラスを確保したが、前年がCOVID-19感染拡大で低迷していたことを考えると決して高い水準とは言えない。中国が同266.1%増と日系メーカーで最も高い伸びを示して3月として過去最高を更新したことで、海外生産自体は同71.9%増の34万8503台と2カ月連続で増加した。

 その結果、グローバル生産台数も前年同月比50.3%増の41万3859台と2カ月連続で増加し、8社の中でも最も高い伸び率となった。ただ、今後も高水準の生産を維持できるかどうかは半導体の調達動向にかかっている。

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