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風車をモデリングする 〜風を電気エネルギーに変換する原理を起点に〜1Dモデリングの勘所(24)(1/5 ページ)

「1Dモデリング」に関する連載。連載第24回は「風車」について考える。風車の構造と仕組み、風がパワーを生み出す原理、翼の発生トルクの算定方法、発電機の原理について説明し、これらを基に風車のモデリング、定式化、解析を行い、風車がどの程度のパワー(電力)を生み出すのかを算出し、考察する。

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 今回は「風車」について考える。最近、風車の話題を耳にすることがあるが、その実態については――例えば「風車の翼はなぜ3枚なのか?」など――あまり知られていないように思う。

 そこで、風車の構造と仕組みから理解し、風のエネルギーがどのようにして電気エネルギーに変換されるのか、その原理を起点に追ってみたい。具体的には、風車の構造と仕組み、風がパワーを生み出す原理、翼の発生トルクの算定方法、発電機の原理について説明し、これらを基に風車のモデリング、定式化、解析を行い、風車がどの程度のパワー(電力)を生み出すのかを算出し、考察する。

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風車の構造と仕組み

 風車の構造を図1に示す。

風車の構造
図1 風車の構造[クリックで拡大]

 風車は以下の要素から構成される。

  • 風のエネルギーを受ける「
  • 翼からの回転数を高めるための「増速機」(翼の回転数が低いため)
  • 機械エネルギーを電気エネルギーに変換するための「発電機
  • 風のパワーを最適な条件で受け取るよう、翼の長軸周りの回転を可能とする「可変ピッチ機構
  • 常に風の吹いてくる方向に風車が向くようにするための「方位制御機構

 安定した高速の風が吹いている高い位置に設置するために、風車の本体は塔の上部に取り付けられる。つまり、発電した電気は塔を通して地面(塔の下)の変電設備へ送られる。増速機、発電機などの主要機器は「ナセル」と呼ばれる構造体で覆われている。

 図2に風車の仕組みを示す。

風車の仕組み
図2 風車の仕組み[クリックで拡大]

 風のエネルギーは翼を介して機械エネルギーに変換され、増速機で回転数を高め、発電機で電気エネルギーに変換される。電気エネルギーは、一般には変電された後、系統に送られるが、ここでは蓄電池に蓄えることを考える。また、風のパワーを効率的に受け取るように翼のピッチ角と発電機の制御が行われる。ここではこの全体を「風車」と呼ぶことにする。

風がパワーを生む原理

 風の質量をm、速度をvとすると運動エネルギーは、

式1
式1

である。従って、翼の回転面積Aを通過する風のパワーは、

式2
式2

となる。翼を通過する空気の流れを図3のように仮定すると、

風車の翼前後の流れ
図3 風車の翼前後の流れ[クリックで拡大]
式3
式3

となる。ρは空気の密度である。空気の流れから取り出される運動エネルギーは、上流と下流の運動エネルギーの差であるから、

式4
式4

となるため、風から取り出されるパワーは、

式5
式5

となる。翼の回転平面を通過する質量流量と風速を

式6
式6

とすると、翼が風から取り出すパワーは、

式7
式7

となる。この式から風のパワーは、

式8
式8

となり、パワー係数であるCpは、

式9
式9

となる。

 すなわち、風のパワーは風速の3乗に比例して、翼断面積(翼径の2乗)に比例する。

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