連載
風車をモデリングする 〜風を電気エネルギーに変換する原理を起点に〜:1Dモデリングの勘所(24)(4/5 ページ)
「1Dモデリング」に関する連載。連載第24回は「風車」について考える。風車の構造と仕組み、風がパワーを生み出す原理、翼の発生トルクの算定方法、発電機の原理について説明し、これらを基に風車のモデリング、定式化、解析を行い、風車がどの程度のパワー(電力)を生み出すのかを算出し、考察する。
風車のモデリング
図10に風車のモデリングの流れを示す。
まず、風エネルギーは翼を介してトルクと回転を発生させるが、その特性は既に述べた方法で算定される。翼の発生トルクTと回転数ωは、増速比Grの増速機により、以下のように変換される。
このトルクと回転が発電機に入力され、機械エネルギーが電気エネルギーに変換される。
実際には翼の性能と発電機の性能により、運転点は図11のように決まる。これは連載第10回で紹介した「ミニ四駆」(注1)のモデリングでクルマの性能とモーターの性能により、運転点が決まる(図11右図)のと同様である。
※注1:「ミニ四駆」は株式会社タミヤの登録商標です。
風車の場合、図6で示した翼の性能を簡単な式で表現することが困難なため、ここでは、簡単に表すためにパワー係数、周速比は風速によらず一定とする。そうすると翼の発生トルクは、
で、増速機を介して発電機に伝わるトルクはTg=T/Grなので、翼と増速機に関する式は、
となる。一方、発電機に関する式は、
であり、蓄電池に関する式は、
となる。以上の3つの式(式18、式19、式20)が風車の性能に関する式となる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.