パナソニック目黒ビルに家電事業が集結、組織の壁を超えた横連携を目指す:製造マネジメントニュース
パナソニックは、くらしアプライアンス社を中核とする家電事業の新たな拠点となるパナソニック目黒ビルを報道陣に公開。同ビルには、空質空調社やエレクトリックワークス社、流通部門に至るまでパナソニックの家電事業の関連部門が集結する。
パナソニックは2023年10月2日、くらしアプライアンス社を中核とする家電事業の新たな拠点となるパナソニック目黒ビル(東京都品川区)を報道陣に公開した。白物家電を扱うくらしアプライアンス社だけでなく、空質空調社、エレクトリックワークス社に加え、AV機器やデジタルカメラを手掛けるパナソニック エンターテインメント&コミュニケーション、パナソニック エナジーの他、流通部門のコンシューマーマーケティングジャパン本部やパナソニック マーケティング ジャパンに至るまでパナソニックの家電事業の関連部門が集結する。パナソニック目黒ビルに勤務する従業員数は約2300人となる予定だが、今後東京都内の他拠点の人員も統合するなどして約2700人まで増やす方針である。
パナソニック目黒ビルは、五反田駅から徒歩6分、目黒駅から徒歩9分の位置にある。地上25階、地下2階、延べ床面積4万7843m2のビルに、パナソニックの家電事業に関わる部署と人員が入居している。これまでくらしアプライアンス社は本社機能などを天王洲アイルのビルに置いていたが、2023年末の契約更新に合わせて、2023年3月まで大日本印刷が入居していたビルへの移転を決め、名称も新たにパナソニック目黒ビルに定めた。※)また、東京都内に点在している関連部門のパナソニック目黒ビルへの統合も進めており、既に美容機器を手掛けるパナソニック ビューティーのマーケティング部門の移転を完了。今後は流通部門の移転を進める方針である。
※)くらしアプライアンス社を統括するパナソニックは、2022年4月のパナソニックグループの持ち株会社制移行に合わせて、本社をパナソニック東京汐留ビル(東京都港区)に移転しており、現在も変更はない。
パナソニック 副社長執行役員 くらしアプライアンス社 社長の松下理一氏は「コロナ禍を経て働き方環境は大きく変化した。当社は『くらしを支えるベストパートナー』というビジョンの実現に向けて『人が活きる経営』を目指しているが、目黒ビルはその実践の象徴となる」と語る。
自然と行きたくなる、パナソニックらしさがあふれる職場を具現化
大企業であるパナソニックはもともと、組織ごとに縦割りで分断された職場環境が課題になっていた。そしてコロナ禍でテレワークの普及が進んだ一方で、社員間のコミュニケーション不足などの課題が顕在化し、リアル/対面の価値を再認識するようにもなっている。パナソニック くらしアプライアンス社 常務の塔之岡康雄氏は「新たな移転先となるパナソニック目黒ビルでは、リアルとオンラインの良さを生かしつつ社員のウェルビーイングに寄り添うハイブリッドな働き方環境を用意したいと考えていた。そして、自然と行きたくなる、パナソニックらしさがあふれる職場の具現化を若手社員のチームに任せることにした」と語る。
パナソニック目黒ビルに入居するグループ各社の13人の若手社員から成るチームが決めた同ビルのコンセプトは「“つながる”をテーマにした家電事業の新拠点」だ。お客さまとつながる、社会とつながる、そして社員がつながるという3つの“つながる”を生み出すことを目指しており、特にオフィスフロアは、同ビルに入居する複数の組織が壁を超えて入り交じることが可能な、横連携を促す仕掛けが施されている。
また、ビルエントランスから入って1階受付の奥側にはパナソニックの最新の家電製品を展示するとともに、IoT(モノのインターネット)を活用した“つながる家電”を集約した体験コーナーが用意されている。2階は、創業者の松下幸之助の経営哲学を示す展示や、昭和時代に発売した洗濯機やテレビ、エアコンなど同社の沿革で重要な意味を持つ製品の展示なども行っている。
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