検索
インタビュー

新生パナソニックを襲った“四重苦”、それでも長期的な目線で投資を拡大製造マネジメント インタビュー(1/2 ページ)

パナソニックグループで家電や空調設備、電材などの事業を展開する新生パナソニック。同社 CEOの品田正弘氏が報道陣による合同取材に応じ、事業の足元の状況や今後の方向性について説明した。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 パナソニックグループで家電や空調設備、電材などの事業を展開するパナソニック CEOの品田正弘氏は2023年6月12日、報道陣による合同取材に応じ、2021年10月から展開してきたくらし事業や2022年4月に発足した新生パナソニックの足元の状況や今後の方向性について説明した。

パナソニックの品田正弘氏
パナソニックの品田正弘氏[クリックで拡大]

 2022年度決算で売上高約3.5兆円の新生パナソニックは、持ち株会社制へ移行したパナソニックグループにおいて最大の事業会社となっており、中国・北東アジア社、くらしアプライアンス社、空質空調社、コールドチェーンソリューションズ社、エレクトリックワークス社という5つの分社を中核としている。

 品田氏は「くらし事業本部の立ち上げから2年弱を迎えるが、2022年度については上海ロックダウン、急激な為替変動、原材料高騰、物流でもさまざまな制約が出るなど“四重苦”の状態で外部環境は非常に厳しかった。その一方で、さまざまなステーホルダーの皆さまと顔を合わせる中で新たなパナソニックに対する期待の大きさを感じた。また、5つの分社それぞれの活躍に加えて、分社を超えた連携への期待も感じている」と語る。

 事業会社として独立した新生パナソニックとして品田氏が重視しているのが「長期的な目線での事業運営」(同氏)である。母体となった旧アプライアンス社と旧ライフソリューションズ社は、全社で成長事業に対して行う投資のためのキャッシュを生み出すポジションであることを期待されており、そのために自身の成長投資を積極的に行えなかったこともあったという。品田氏は「かつて、現在のパナソニックで重点事業の一つとしている海外電材でM&Aの案件があったが、結果として実行できなかった。しかし今の体制であれば、自らのキャッシュを使って将来の成長に向けた投資ができる。新生パナソニックが自らの成長に向けて動き出したのが、この1年間になるだろう」と強調する。

パナソニックの中長期ポートフォリオと7つの重点事業の位置付け
パナソニックの中長期ポートフォリオと7つの重点事業の位置付け[クリックで拡大] 出所:パナソニック

 実際に、2022年度の段階では2022〜2024年度の中期投資を3650億円としていたが、欧州A2W(Air to Water)、海外電材、エネルギーソリューションなどの成長事業を中心に900億円を上積みして4550億円とした。これは、2019〜2021年度の投資実績と比べてほぼ倍増となっている。

2022〜2024年度の中期投資を積み増した
2022〜2024年度の中期投資を積み増した[クリックで拡大] 出所:パナソニック

 成長事業だけでなく、旧アプライアンス社や旧ライフソリューションズ社と同じくキャッシュを生み出すことが求められる安定収益事業のポジションにある国内家電事業でも投資を行っている。洗濯機を生産する袋井工場(静岡県袋井市)に、ドラム式洗濯機の新ラインを導入したのだ。「これまでは、ステンレス槽などの部品を作る源泉工程と、これらを組み合わせて洗濯機を作っていく組み立て工程を別々に分けていた。新ラインは源泉工程と組み立て工程を一直線につなげており、従来と比べてリードタイムを大幅に短くできている」(品田氏)。

 この他、生産に関わる投資では、人材確保が国内だけでなくグローバルで困難になっているトレンドに対応するための省人化を重視しているという。また、コロナ禍を経たことで、地産地消でビジネスを早く回す利点も含めて最適地生産の検討を進めていることも明らかにした。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る