ドゥカティのハイエンド二輪車向け次世代デジタルディスプレイの開発で提携:組み込み採用事例
Qt Groupは、ハイエンド二輪車に搭載する次世代デジタルディスプレイの開発をサポートするため、二輪車メーカーのドゥカティとの連携を発表した。
Qt Groupは2023年9月20日(現地時間)、ハイエンド二輪車に搭載する次世代デジタルディスプレイの開発をサポートするため、二輪車メーカーのDucati(ドゥカティ)と連携すると発表した。
「Ducati Scrambler」の2023年モデルは、Qt for MCUsテクノロジーを採用した初のモデルとなる。デジタルディスプレイにマイクロコントローラー(MCU)を採用し、スナップブート、正確なタイミング、熱効率、リアルタイム制御が必要な用途向けにツールを提供する。
Qt for MCUsは、MCUやローエンドMPUのフットプリントに合わせて最適化したライブラリを用いて、ベアメタル環境あるいはリアルタイムOS上で動作する。Qt for MCUsのグラフィックスフレームワークを利用することで、1.5MBのRAMで高性能な疑似3Dグラフィックスを表示できる。
新しいデジタルディスプレイには、Ducatiの特徴である流動性と優雅さを反映した、優れた操作性や処理性能が求められる。そのため、Ducatiの二輪車のクラスタデザインには、洗練されたスプラッシュスクリーンアニメーションや見やすさを追求した多言語メニューなどが含まれる。
Ducatiの二輪車である「Scrambler」のクラスタ開発を担当したティア1サプライヤーのEgiconによると、Qtの技術を用いて、UI開発とテストをPC上で実行するのと並行して、別のチームがハードウェアのベアメタル開発に取り組めたことで、納期が50%以上短縮できたという。
Qt Groupが2023年に実施した調査では、開発予算の3割以上をUI、UXの向上に当てる予定と回答した企業は52%で、2022年の25%から大幅に増えていた。メーカーの競争力を高める上で、UIおよびUXが重視され始めていることがうかがえる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- MCU向けのQtがμITRON4.0に対応、最新のバージョン1.3もリリース
The Qt Companyは、マイコン(MCU)上で動作するユーザーインタフェース(UI)を開発するためのグラフィックスツールキット「Qt for MCUs」が、日本の製造業で広く利用されているリアルタイムOSカーネル仕様「μITRON4.0」に対応したと発表した。 - MCUで直感的に操作可能なUIを開発できるグラフィックツールキットの最新版
The Qt Companyは、ローエンドのMCU上でUI開発ができるグラフィックツールキットの最新版「Qt for MCUs 1.1」を発表した。対応可能な開発ボードの追加、インストーラーの改善、イメージおよびアセットマネジメント機能を拡張している。 - ローエンドデバイスにスマホのようなユーザー体験をもたらすグラフィックスツール
The Qt Companyは、MCU上でUIを開発できるグラフィックスツールキット「Qt for MCUs 1.0」を発表した。コネクテッドカー、ウェアラブルデバイス、産業・医療分野向けに、安価で直感性や操作性に優れたアプリケーションが開発できる。 - 自動GUIテストもカバーするQt、買収したfroglogicの「Squish」を披露
The Qt Companyは、「第6回スマート工場EXPO」において、自動GUIテストツールの「Squish」を披露した。 - 提携によりデジタルコックピット向けターンキー開発ソリューションを提供
ElektrobitとThe Qt Companyは、次世代自動車デジタルコックピットに向けたターンキー開発ソリューションを提供する。同ソリューションを用いることで、AUTOSARアーキテクチャ上でのHMIの開発が加速し、コスト削減などが可能となる。 - 「Qt」がメジャーバージョンアップ、「Qt 6.0」を発表
The Qt Companyは、ソフトウェア開発プラットフォーム「Qt」のメジャーバージョン「Qt 6.0」を発表した。将来の統一基盤となるよう、生産性を向上するツールやAPIの搭載、プログラミング言語の改善など、再構築がなされている。