タイ子会社の非可食糖製造設備を増強、非可食糖由来原料の早期事業化へ:製造マネジメントニュース
東レは、DM三井製糖と共同で設立した、Cellulosic Biomass Technologyへの増資を実施する。この増資により、非可食糖の製造能力を増強し、非可食バイオマス由来原料の早期事業化を図る。
東レは2023年8月22日、タイのCellulosic Biomass Technology(CBT)に対して12億円の増資を実施し、出資比率を67%から84.4%に引き上げると発表した。
CBTは、東レとDM三井製糖が膜利用糖化プロセスの技術開発を目的に設立した企業だ。今回の増資により、東レはCBTに対し、サトウキビの搾りかすであるバガスを原料として非可食糖を製造する設備に加え、新たにキャッサバパルプから1日当たり5トン(t)の非可食糖を製造可能な設備を導入する。また、バイオマス燃料を使用できるボイラーの導入や排水処理設備の増強により、用役費のコストダウンも目指す。
CBTの設備で生産された非可食糖は、化学品を製造するときの微生物発酵に適した品質や、保存時および輸送時の安定性を保持している。東レは今後、同社グループが取り扱う化学品原料を非可食原料化するため、非可食糖をアジピン酸などの原料開発に利用する。また、可食糖から化学品を製造する化学企業に非可食糖を有償提供するなどして、バイオマス原料化を推進する企業との協業を進めていく。
また、東レは、バガス原料から糖とポリフェノールを併産する技術を確立しており、高付加価値品のポリフェノール類を国内、世界の市場で展開していく。2030年までには年間10万t規模の非可食糖製造技術を開発し、非可食糖を使ったポリマー原料のサプライチェーンを構築して、循環型経済(サーキュラーエコノミー)社会の推進に貢献する。
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