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東レが韓国の子会社でPPS樹脂の生産能力を年産5000t増設、2024年12月に稼働開始:工場ニュース
東レは、韓国の100%子会社である東レ尖端素材の群山工場において、PPS樹脂「トレリナ」の生産能力を年産5000t(トン)増設する。2024年12月の稼働開始を目指し、PPS樹脂の世界的な需要拡大に応じる。
東レは2023年2月6日、韓国の100%子会社である東レ尖端素材(TAK)の群山工場で、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂「トレリナ」の生産能力を年産5000t(トン)増設すると発表した。2024年12月の稼働開始を目指す。
今回の増設により、愛知県東海市の東レ東海工場と合わせた生産能力は、年産3万2600トンまで拡大し、世界最大のPPS重合能力を有する見通しだ。
併せて、PPS樹脂の主原料となる硫化水素ナトリウム(NaSH)の生産能力も増設する。これにより、主原料から樹脂まで、一貫した生産拠点としての位置付けを維持しつつ、強化を図る。
PPS樹脂は、耐熱性や耐薬品性、機械的強度、難燃性などに優れたスーパーエンプラとして、電動車(xEV)の電装部品、電機機器、電子機器などに使用されている。2022年のPPS樹脂コンパウンドの世界需要は約12万tと推定され、今後も年率6%以上の高成長が見込まれている。
同社は生産能力の増強により、樹脂コンパウンド分野で需要拡大が期待される高機能および環境対応の製品への適用を進めるとしている。
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