デジタルツインを横展開して差別化に、NECが見据えるDXでの勝ち筋:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
NECは、DX事業についての説明会を開催し、共通基盤である「NEC Digital Platform(NDP)」を軸にAI技術などを組み合わせたデジタルツインの実現で差別化を進めていく方針を示した。
デジタルツインを差別化ポイントに
NDPやその中で活用するAIを強みとしつつ、顧客企業に対しては「デジタルツイン」を価値として訴求していく。「ITとOT領域のグローバルスタンダードに基づいた連携を確保しつつ、NECが差別化できる領域としてデジタルツインに注力していく」とNEC マネージング・エグゼクティブ・チーフアーキテクトの山本宏氏は述べている。デジタルツインは現実世界をそのままデジタルの世界で再現する“デジタルの双子”を作り、それを活用することで遠隔での作業確認やシミュレーションなどを行えるようにしたものだ。「デジタルツインにも主に3つの段階がある。1つ目は可視化、2つ目はAIによるモデル化、3つ目は最適化だ。この3つのフェーズをそれぞれサポートしていく」と山本氏は語る。
その例として紹介したのが、NIPPON EXPRESSホールディングスとの共創で進めている物流倉庫でのフォークリフトの自律遠隔操作や、AIを活用したロボットアームのティーチングレス制御である。どちらも既にパイロット実証を進めており、2024年度には本格提供する予定だ。
提案を進める中で積み上げた実績を、デジタルツインコンソーシアムなどの外部団体と連携し、ユースケースの情報発信などを行い、キラーアプリケーションの構築とグローバルでの発信力強化を目指す。「データを収集して活用できるようにする大枠の仕組みをNDPという基盤が担い、そのデータを活用する技術がAI、そしてこれらを生かした価値創出の仕組みがデジタルツインという位置付けだ。デジタルツインに関するアプリケーションをNDPの1つのコンポーネントとして横展開できるようにしていく。将来的にはSaaS(Software as a Service)の形でさまざまな価値を提供できるようにしていきたい」と山本氏は語っている。
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