NECが推進する“顔の見える”DX提案、プロセス・技術・人材の3つを強化:製造ITニュース
NECは2021年9月9日、DXの事業展開を強化し、ビジネスプロセス、テクノロジー、組織・人材それぞれの提案を強化していく方針を示した。
NECは2021年9月9日、DX(デジタルトランスフォーメーション)の事業展開を強化し、ビジネスプロセス、テクノロジー、組織・人材それぞれの提案を強化していく方針を示した。
NECでは2021年5月に2025年までを対象とした中期経営計画を発表。NEC内のDXを推進する「社内のDX」、顧客企業のDXをサポートする「コアDX」、スーパーシティー構想など社会を対象とした「社会のDX」の3つのDXを推進する方針を示している。この中で今回は「コアDX」を推進していく体制の強化についての新たな動きを紹介した。具体的には、この「コアDX」領域の売り上げを、2020年度の1410億円から2025年度に5700億円まで成長させる。さらに利益率は13%を目指すとしている。
NEC 代表取締役 執行役員社長 兼 CEOの森田隆之氏は「社内のDXにおいていち早く、社内で取り組んだものをレファレンスとして知見を集約し、全社横軸組織のデジタルビジネスプラットフォームユニットが中核となり、顧客のDXを推進していく」と述べている。
ビジネスプロセス、テクノロジー、組織・人材の3つを強化
具体的には「ビジネスプロセス」「テクノロジー」「組織・人材」の3つの観点で提案を強化する。DX事業を推進するNEC 執行役員常務 デジタルビジネスプラットフォームユニット長の吉崎敏文氏は「DX推進リーダーとしての役職を設置する企業の割合は増え続けており、それを役員が務めるケースも非常に多い。これはデジタル課題が経営課題と捉えられてきたことが要因だ。一方で、推進の課題として人材やロードマップ、事業展開などの課題が挙がっている。これらに対応していくためには、テクノロジーはもちろんだが、ビジネスプロセスや人材育成などの観点で提案が必要になる。NECでは以前からこの3つの軸での提案をぶらさずに続けてきた」と訴える。
「ビジネスプロセス」については、上流工程からのコンサルテーションの強化を推進するとともに、DXオファリングメニュー(過去の実績を基に開発されたサービス)の拡充を推進する。NEC内のDX戦略コンサルタントに加え、グループ会社であるアビームコンサルティングが抱える5000人のコンサルタントの力を組み合わせ、顧客企業のビジネスプロセスに組み込んだ最適なデジタル変革を推進できるようにする。さらに、これらの導入の難易度を下げるために、過去1年間で獲得した7業種、キーアカウント50社以上のDXレファレンスなどを含む過去のベストプラクティスから構築したDXオファリングメニューをさらに充実させていく方針だ。
「テクノロジー」では、強みとする顔認証技術や虹彩認証技術、5Gネットワークなどの技術をさらに強化していくことに加え、これらとITを組み合わせ、業務に組み込むためのグローバル共通デジタルプラットフォームの拡張を進める。また、Amazon Web ServicesやMicrosoftなどのプラットフォーマーとのパートナーシップも含めて、さらにこれらの基盤強化を図る。「以前からこれらのプラットフォーマーと連携は進めていたが、グローバルでの連携とトップコミットメント、NEC自身がこれらを通じて開発したアプリケーションの実践の場となることなどが従来との違いだ。デジタルの知見をいち早く体験してユーザーに届ける」と吉崎氏は語る。
「組織・人材」ではDX人材育成プログラムの整備を推進し、デジタル人材の数を2倍にする。あらためて「DX人材」として、DXを推進するコンサルタント、サービスデザイナー、アーキテクト、ビジネスデザイナー、アジャイルエンジニア、データサイエンティスト、サイバーセキュリティ人材などを再定義した。これらの対象となる人材は、2020年度は約5000人だが、2025年度までに1万人に増やす。これらの教育を社内に向けて推進していく一方で、得られたノウハウを外部にも提供するため外部向け教育サービスとして「NECアカデミー for DX」を立ち上げる。また、NEC内で各分野をリードする人材100人を「NEC DX innovators 100」と位置付けて公開し、顔の見えるDX推進を行う。
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