電動車はSUVやコンパクトカーで台数増加、ピックアップトラックも:電動化
富士経済は電動車のセグメント別市場調査の結果を発表した。世界的に人気なSUVで電動車の台数が大幅に増加する他、小型車の電動化が加速すると見込む。
富士経済は2023年8月24日、電動車のセグメント別市場調査の結果を発表した。世界的に人気なSUVで電動車の台数が大幅に増加する他、小型車の電動化が加速すると見込む。
調査はHEV(ハイブリッド車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)、EV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)、48VマイルドHEVを対象に、コンパクトカーやSUV、ピックアップトラックなど車両セグメント別の成長の見通しをまとめた。
2035年における電動車のセグメント別の市場見通しは、SUVが2022年比6.8倍の5806万台、コンパクトカーが同4.6倍の863万台、ピックアップトラックは同17.9倍の179万台としている。
SUVは2022年の電動車市場でシェアが5割を占める。自動車メーカーとしては、SUVは車高が高く床下に電動部品を配置しやすいメリットがある。消費者にとっては、スポーティーなデザインや荷室の大きさ、3列シートの選択肢の拡大、車高の高さによる視野の広さなどがSUVの利点となる。中大型だけでなく、コンパクトなSUVも充実してきたことで、市場をけん引している。
今後はカーボンニュートラル実現に向けて幅広いセグメントで電動車が普及する。電動化が遅れているピックアップトラックも、電池の性能向上や製造コストの低下によって電動車が伸長すると見込む。なお、新車市場全体で需要が鈍化しているセダンは、電動車市場においても同様の傾向だとしている。
電動車のうち、EVに絞ってもSUVの成長が期待できる。2035年のEV市場におけるセグメント別の見通しは、SUVが2022年比13.4倍の4262万台、コンパクトカーが同5.4倍の751万台、セダンは同2.0の289万台と見込む。
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