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図面データと各部門情報との連携による具体的な効果とは大変革時代の設計者 部門連携とデータ活用の重要性(5)(2/2 ページ)

大変革時代を迎える製造業。従来の縦割り、属人化したモノづくりから脱却し、全ての工程でのプロセス改革を実現するには、図面データや発注実績などの製品データを活用した部門連携が欠かせない。連載第5回では図面データと各部門の情報との連携による具体的な効果について部門別に紹介する。

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「製造部門」における効果

 続いて、製造部門における効果を紹介します。製造部門では、設計部門から受け取った図面を基に、加工、組み立てを進めていきます。図面の受け渡しは、今も紙によって行われている現場も多いのではないでしょうか。小さな装置なら、紙図面もそれほど大きくはないですが、製品によってはA0、A1サイズの紙を出力して、決まった様式で折り畳んで受け渡しています。現場で大きな紙を広げることができないので、あえて縮小印刷した紙図面を渡している場合もあるでしょう。紙なので、製造部門まで歩いて行って受け渡しすることになります。また万一、「縮小してよく見えないから、拡大した図面を出力してほしい」となると、その都度、設計部門まで図面を受け取りに行くことになります。時間も労力もかなりのものです。

 図面データを製造部門でも見られるようにすれば、出力依頼も受け渡しでの移動も不要になります。また、図面データが図面に記載されている全ての内容をキーとして検索できれば、過去の図面を直ちに探せるので、古い装置のメンテナンス部品が必要になった場合でも簡単に対応できます。

 さらに、図面データと製造部門で持つ加工にかかわるデータとが連携することで、過去の類似図面と、それにひも付いた加工データを基に、加工条件を新たに検討する工数を減らすことができるでしょう。また、類似図面の部品を加工する際に起こったトラブル情報がひも付けられれば、製造トラブルを未然に防げます。設計部門側でもトラブル情報を図面データにひも付けて共有できれば、その内容を次にある類似の設計に反映することで、設計段階においてトラブルを防ぐことができます。

 製造トラブルが共有されず、製造部門側で対応することで、手書きのメモの入った紙の子図面、孫図面が存在する状態は、製造プロセス全体の最適化を阻む大きな問題です。図面データも含めた製造部門との情報の連携は、このような状況を解消し、製造プロセス全体の最適化を推し進めます。

「調達/購買部門」における効果

 最後に、調達/購買部門における効果です。調達/購買部門では、設計部門から受け取った図面を基に、発注先を決めたり、製造原価を見積もったりします。過去の実績をベースに発注先、発注価格の検討が行われますが、過去の例を探すのは簡単ではありません。該当の過去例の担当者か、部門内で長い経験を持つ者でなければ、探すことは難しいでしょう。多くの発注経験を持つ者ならば、過去例を確認せずとも、発注先、発注価格などを検討することも可能です。しかし、新人や経験の浅い者ではそれはできません。また、経験者であっても、価格の精度を一定に保つことは困難です。

 図面データを類似図面も含めて簡単に検索できれば、過去の実績を参照することは容易になります。また、図面データが購買部門と結び付いていれば、該当の図面データを探し出すとともに発注実績も見ることができるので、発注業務にかかる工数は大幅に減ることになります。同じ、あるいは非常に類似した図面を参照するため、価格の精度も担保されます。

 また、図面を読むことができない、読むことはできても単純なものだけに限られるような新人、経験の浅い購買担当者でも、類似図面を経験者と同様に探せるようになり、発注先、価格を同時に確認できます。経験に寄らず、誰でも最適発注ができるようになり、煩雑な発注業務から解放されます。

調達/購買部門における図面データ活用クラウド「CADDi DRAWER」を活用した業務フローの変化例
図2 調達/購買部門における図面データ活用クラウド「CADDi DRAWER」を活用した業務フローの変化例[クリックで拡大] 出所:キャディ


 以上のように、埋もれていた図面データと各部門の情報が連携できるようになれば、各部門での業務の進め方が変わり、製造プロセス全体の最適化の実現に大きく貢献できます。大変革時代を乗り越えていくためにも、早い対応が必要です。

 次回は「新しいモノづくりにおける部門連携の目指すべき姿」について取り上げます。 (次回へ続く

⇒ 連載バックナンバーはこちら

筆者プロフィール:

白井 陽祐(しらい ようすけ)
キャディ株式会社 DRAWER事業部 事業責任者

株式会社フリークアウトにて、SMBからナショナルクライアントまで幅広い顧客にDSP/アドネットワークの提案、DMPの導入支援などを行う。2019年6月よりキャディ株式会社に移り、プロダクトマネジャーを経験した後、現職に至る。


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