ソニーGが2023年度業績見通しを上方修正、イメージセンサーの悪化を他分野が補う:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
ソニーグループが2023年度第1四半期の連結業績について説明。売上高は前年同期比33%増の2兆9637億円、営業利益は同31%減の2530億円となり増収減益となった。2023年度連結業績見通しについては上方修正を行った。
スマートフォン市場が想定以上に悪化、回復時期は2024年以降にずれ込む
2023年度第1四半期のハードウェア3分野のセグメント別業績では、G&NS分野は売上高が前年同期比28%増の7719億円、営業利益が同7%減の492億円。自社制作ではないサードパーティー製ソフトウェアやPS5の販売台数増加によるハードウェアの販売が大幅増収をけん引したものの、約37億米ドル(約5300億円)に上るバンジーの買収費用に加えて、2023年度のPS5の年間販売台数2500万台の達成に向けて販促費用を追加したことにより減益となった。「2023年度第1四半期はPS5の販売台数目標に届かなかったものの、北米では販促の効果が出始めており、販売台数が大きく伸びる2023年末までに向けて一定の手応えは得ている」(十時氏)という。
ET&S分野は、売上高が前年同期比4%増の5718億円、営業利益が同4%増の556億円。スマートフォンとテレビの販売台数減少が減収要因となったものの、デジタルカメラが2022年度から引き続き好調で増収となった。営業利益では、需要減を見越したテレビのオペレーション費用の削減などによって増益を確保した。ET&S分野では、市場環境変化に対応した在庫管理を推し進めており、在庫金額は2022年度第2四半期の5000億円弱をピークに、2023年第1四半期は約3500億円まで圧縮している。需要回復が見通せないスマートフォンとテレビは在庫管理に注意を払いながら、中国などで堅調な需要が続くデジタルカメラは収益の早期刈り取りを目指すとしている。
I&SS分野は、売上高が前年同期比23%増の2927億円、営業利益が同41%減の90億円。スマートフォンが中心となるモバイル機器向けイメージセンサーの増収と為替影響による大幅な増収となった一方で、新製品の製造経費の増加に加えて、中国を中心に産業/社会インフラ向けイメージセンサーが減収となり、研究開発費の増加も大きく影響して為替影響を打ち消す大幅な減益となった。
スマートフォン市場は中国の回復遅れ、欧州での長期低迷、北米の減速などが相まって、これまでの想定以上に悪化しているという。2023年4月の業績見通しでは、同年度下期からスマートフォン市場の緩やかな回復を想定していたが、2024年以降にずれ込む見込みだ。このため、2023年度第1四半期は増収に貢献したモバイル機器向けイメージセンサーが通期では減収要因となっており、I&SS分野の通期業績見通しも下方修正を余儀なくされている。
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