ソニーのイメージセンサーは車載分野が新たな柱に、金額シェアで25%に到達:組み込み開発ニュース(1/3 ページ)
ソニーグループがイメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野の事業戦略を説明。2022年度のイメージセンサー金額シェアが目標の49%を超え51%となる中、車載イメージセンサーの金額シェアも2021年度の9%から大きく伸ばし25%に達した。
ソニーグループは2023年5月25日、オンライン開催の投資家向け説明会「事業説明会 2023」において、CMOSセンサーをはじめとするイメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野の事業戦略を説明した。2022年度後半から続くスマートフォン市場の停滞が2023年度も続くことから、イメージセンサー市場の拡大ペースを1年後ろ倒しにしたものの、2023年度以降年率9%で成長するという予想は堅持した。スマートフォンの高級機種向け大判イメージセンサーの好調さや車載イメージセンサーの採用の急加速などもあり、2022年度のイメージセンサー金額シェアは目標の49%を超え51%となった。この勢いを維持して2025年度目標のイメージセンサー金額シェア60%の達成を目指す。
I&SS事業の2022年度(2023年3月期)業績は売上高が前年度比30%増の1兆4022億円、営業利益が同36%増の2122億円だった。イメージセンサーの大判化の進展に加え円安による為替の押し上げ効果もあり、スマートフォン市場が後退する中でも増収増益を確保した。2023年度業績については、売上高で前年度比14%増の1兆6000億円、営業利益で同6%減の2000億円を見込む。スマートフォン市場の2023年度後半からの緩やかな回復を期待しつつも、2022年度から円高回帰となる為替の影響などを想定し増収減益の見通しとした。I&SS事業を統括するソニーグループ 上席事業役員でソニーセミコンダクタソリューションズ 代表取締役社長 兼 CEOの清水照士氏は「2023年度上期はスマートフォンの需要低迷が続く。下期からの緩やかな回復を期待はしているが楽観はできず、事業環境は不安定だと認識している。需要動向を踏まえた慎重な事業運営を進めていく」と語る。
イメージセンサー市場の見通しでは、2022〜2023年度の景気減速によるスマートフォン市場の軟調を織り込み、前回の2022年5月の発表から1年後ろ倒しとなる形に修正した。ただし、2022〜2030年度の年平均成長率が9%になるという見方は変えていない。
市場の成長をけん引するのは、モバイルイメージング領域におけるスマートフォン高級機種向けを中心としたイメージセンサーの大判化である。ソニーのISS事業としては、複数の中国メーカーのフラグシップモデルで1型センサーの採用が決まった他、現在主力の1/1.5型の5000万画素センサーから今後は1/1.4型、1/1.3型と大判化を続けていく方針である。
モバイルイメージング領域では、大判化にとどまらない形で製品と技術の展開を広げていく。まずは、2021年12月に発表した2層トランジスタ画素積層型CMOSイメージセンサーの本格量産を始めて2Dのイメージングのレベルを高めていく。その上に、奥行きのセンシングが可能なToF(Time of Flight)イメージセンサーで3Dを、各画素の輝度変化を検出し変化したデータのみを「座標」および「時間の情報」と組み合わせて出力するEVS(Event-based Vision Sensor)で4Dを、低照度イメージセンサーと近赤外線(NIR)センサーの融合によるスペクトル情報の取得で5Dをカバーしていく方針だ。「モバイルイメージングの技術進化にはまだ多くの余地があり、われわれはそれを実現する数多くの技術を有している。基盤となる2Dの画素特性の進化に加えて、深度、時間、スペクトルといった別次元の情報を付加することでモバイルイメージングの提供価値をさらに高められる。このようなセンサー技術の総合力はわれわれの圧倒的な強みだ」(清水氏)という。
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