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ソニーグループは2トップ体制に、CFOの十時裕樹氏が社長 COOに昇格製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

ソニーグループは同社 副社長 兼 CFOの十時裕樹氏が社長 COOに昇格することを発表。現会長 兼 社長 CEOの吉田憲一郎氏は会長 CEOを引き続き務めるため、2トップ体制をとることになる。

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ソニーグループの社長 COOに就任する十時裕樹氏
ソニーグループの社長 COOに就任する十時裕樹氏

 ソニーグループは2023年2月2日、同年4月1日付で同社 取締役 代表執行役 副社長 兼 CFOの十時裕樹氏が社長 COOに昇格することを発表した。現 取締役 代表執行役 会長 兼 社長 CEOの吉田憲一郎氏は社長職からは外れるものの会長 CEOを引き続き務めるため、2トップ体制をとることになる。なお、十時氏は社長 COOに加えてCFO職も継続する。

 同日に東京都内とオンラインで開いた会見において、吉田氏は「テクノロジーの転換や地政学的な問題が起こる中で、グループ経営体制を強化するための人事だ」と語った。十時氏も「『クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす』というソニーグループのパーパス(存在意義)に変わりはない。これを広げていくためにより具体的なものにしていくことが私の役割だ」と意気込みを述べた。

 十時氏は1987年にソニーに入社してから、英国のロンドンで財務を手掛けた後、いったんソニーを退社してから2001年4月にソニー銀行を創業し同社の経営トップを務めた。その後2005年にソニーコミュニケーションネットワークの経営陣に加わった際に、当時同社の社長を務めていた吉田氏の下でCFOなどを担当。2013年12月にはソニーに復職し、ソニーモバイルのCEO、ソニーの執行役 CSOなどを経て、2018年4月に吉田氏がソニーの社長 CEOに就任するのと同時に現職のCFOに就任した。

ソニーグループの吉田憲一郎氏
ソニーグループの吉田憲一郎氏。社長職からは外れるものの会長 CEOを引き続き務める

 吉田氏は、約5年間にわたる十時氏のCFOとしての貢献について、「コンテンツIP」と「半導体」への成長投資をサポートしたことを挙げた。「コンテンツIP」では、米国クランチロールなどのDTC(顧客直結)領域の買収もあったが、そのきっかけとなったのは吉田氏の社長就任直後のタイミングである2018年5月に行った音楽出版を手掛けるEMIミュージック・パブリッシングの買収で、十時氏は条件交渉を含めてリードしたという。「半導体」では、吉田氏が「感動を作りだすクリエーション半導体」と位置付けるCMOSイメージセンサーについて、需要や競争環境、開発ロードマップについて事業側と綿密に議論を重ね、リスクを管理しつつ投資をサポートした。

 また、2021〜2023年度の中計経営計画における2兆円の戦略投資枠設定を主導したことも「グループ全体の成長マインドの向上につながっている」(吉田氏)。戦略投資の一環として行ってきた2018年度から合計5000億円の自己株式取得でも大きく貢献した。

 吉田氏と十時氏は、2005年に吉田氏がソニーコミュニケーションネットワークのトップに就任して以降、ともに企業経営に携わってきた関係性にある。吉田氏は「外部環境を俯瞰(ふかん)した戦略的な視点を持つ十時からは、私も多くの気付きと学びを得てきた。ソニー銀行を創業して代表取締役も務めており、ソニーモバイルのトップとして大組織を直接指揮するなど幅広い経験を積んできている。今後も社長 COO 兼 CFOとして、より大きな貢献をしてくれると確信している」と強調する。

 十時氏は、社長 COO就任に当たり「中期経営計画2年目に当たる2022年度の業績は、過去最高売上高を達成し、営業利益も1兆円を超える高水準となる見通しだ。一方で、現在の事業環境は、不透明な世界経済、地政学リスク、エネルギー問題、自然環境など不確実性が一層高まっている。加えて、AI(人工知能)に代表される急速なテクノロジーの進化を事業のさらなる成長に取り込めるか、逆にディスラプト(破壊)されるかは紙一重という危機感も強くしている。こうした事業環境や技術の大きな変化の中でグループのレジリエンスを高めていく鍵は多様性の進化だ。事業、人材の多様性はソニーのDNAでもあるが、多様性はさらに進化させるべきであり、社内外のさまざまな属性、経験、専門性を持った人材がソニーを場として集まり、その発想や想像力を解放することで未来を共創し、そして個人も企業も成長し続ける、そうした姿を目指したい。ソニーグループがその多様性を生かし、進化、成長し続けることで、顧客に選ばれ、社員を元気にし、優秀な人材を集め、企業価値を高め、そして社会に還元する。そうしたポジティブスパイラルを生み出していきたい」と抱負を述べた。

 2021年4月に発足したソニーグループとしてCOOを設置するのは今回が初めて。十時氏はグループCOOとして、各事業の現場を直接指揮するのではなく、グループ全体を見ながら新しい方向にリードしていく役割を担う。旧ソニーやソニーグループのCFOの役割は広く、これまでも財務だけでなく事業の戦略やオペレーションにも関わっていたが、あらためてグループCOOという肩書を持つことで、社内外にその役割の大きさを示すとともに、実際に果たせるようにしていく狙いがある。一方、会長 CEOとなる吉田氏の役割については「責任をとること」(同氏)としており、今後のソニーグループ全体の事業戦略は十時氏がかじ取りをしていくことになりそうだ。

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