JAXAが高度化する高精度単独測位を、後付けのレベル4自動運転に適用:自動運転技術
東海クラリオン、アジア・テクノロジー・インダストリー、JAXAは「後のせ自動運転システムYADOCAR-iドライブ」に関する共創活動を開始した。
東海クラリオン、アジア・テクノロジー・インダストリー、JAXA(宇宙航空研究開発機構)は2023年8月8日、「後のせ自動運転システムYADOCAR-i(ヤドカリ)ドライブ」に関する共創活動を開始したと発表した。
東海クラリオンとアジア・テクノロジー・インダストリーが開発を進めているレベル4の自動運転システムであるYADOCAR-iドライブに、センチメーター級測位補強信号を活用した高精度単独測位「MADOCA-PPP」を組み合わせる。JAXAはMADOCA-PPPの高度化を進めており、これをYADOCAR-iドライブの走行実証に適用することで測位の精度向上と高速化を目指す。
共創活動では、MADOCAの準天頂衛星「みちびき」L1/L5信号への対応と、中国の衛星測位システムBeiDou3への対応を行う。これにより、対応する衛星数が30機以上増え、高精度化が図れる。また、上空視界が制限される都心部や山間地では、準天頂衛星システムのMADOCA-PPPサービスを地上配信情報によって補完し、測位精度を向上させる。さらに、MADOCAが生成する補正情報を用いた演算処理により、高精度単独測位を行うユーザー測位用ソフトウェアである「MALIB」を高度化し、これまで20分程度必要だった初期収束時間を1分以内に短縮させる。
共創活動は新たな発想の宇宙関連事業の創出を目指す「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ」に基づき2023年6月からスタートした。今後1〜2年で実証走行を実施し、開発と利用のフィードバックを繰り返しながら運用実績を積む。
東海クラリオンとアジア・テクノロジー・インダストリーは、過疎地域の日常の移動手段や、観光地のラストワンマイルのモビリティなど向けに、レベル4の自動運転システムを“市場最安値”で実装することに取り組んでいる。既存のモビリティに最小限の機材を追加で搭載することでコストを低減。また、国内だけでなくアジア太平洋地域での展開も視野に、走行ルートの作成にみちびきを主軸にしたQZSSの位置情報を用いる。YADOCAR-iドライブは2人乗りの超小型EV(電気自動車)から8人乗りのマイクロバスまで幅広くカバーできるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 高価なセンサーなしに「レベル4の自動運転」、インフラ型自動バレーパーキング
Robert Boschの日本法人ボッシュは2022年12月7日、東京都内でレベル4の自動運転に該当する自動バレーパーキングシステムを披露した。ドイツ連邦自動車交通局(KBA)が先日承認したばかりで、ドイツ シュトゥットガルト空港の駐車場のうちの1つで間もなく商用利用が始まる。 - ドアツードアの移動サービス実現へ、ダイハツ独自の自動運転車
ダイハツ工業は「人とくるまのテクノロジー展 2023 横浜」において、神戸市で実証走行を行ってきた自動運転車を展示した。 - ジムニーのラダーフレームで配送ロボット、スズキと豪スタートアップ
スズキは、Applied Electric Vehiclesと自律走行する電動台車の共同開発に合意した。 - トヨタと三菱重工が月面探査で協力、走行技術から再生型燃料電池まで
トヨタ自動車と三菱重工は、有人与圧ローバや月極域探査計画向けLUPEXローバの開発状況を発表した。両社は業務提携し、2024年に打ち上げのLUPEXローバの開発成果を、2029年打ち上げ予定のルナクルーザーにも生かす。 - JAXAが空飛ぶクルマの開発に協力、日本最大の風洞設備も
“空飛ぶクルマ”を開発するSkyDriveは2021年8月10日、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の協力を受けてローターの空力特性の研究を開始したと発表した。 - 日産とJAXAが月面探査車のスタック防止に挑戦、駆動力制御は乗用車にも展開
日産自動車は2021年12月2日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同研究中の月面探査車(ローバ)の試作機を公開した。