小型衛星スタートアップのアクセルスペースが15周年、2つの事業を両輪に成長加速:宇宙開発(2/2 ページ)
小型衛星スタートアップのアクセルスペースが15周年記念式典を開催し、同社の成長をけん引する2つの事業である衛星画像サービスの「AxelGlobe」と、小型衛星の開発から量産、運用までをカバーする「AxelLiner」の方向性について説明した。
「AxelLiner Terminal」によって小型衛星のデジタルツインを構築
既に事業展開が進んでいるAxelGlobeに対して、これから立ち上げが本格化することになるのがAxelLinerだ。
民間参入により宇宙産業の急拡大が想定されているが、そのけん引役になるのが多数の小型衛星によって構成される衛星コンステレーションである。AxelLinerは、民間向けの衛星コンステレーションをターゲットに、デジタルツールを駆使することで小型衛星のマスカスタマイゼーションを実現し、個別に行うのが当たり前だった衛星開発の革新を目標としている。中村氏は「これまでの衛星の開発契約を結んでから打ち上げるまで2〜3年はかかるのが当たり前だったが、AxelLinerではこれを1年以内に短縮する」と強調する。
AxelLinerの構成する重要な要素となるのが、基盤となる汎用衛星プラットフォームにおいて顧客の求める設計自由度も入れ込んだ上で、ビジネスデザインとフィジビリティスタディー(FS)を行ってから、顧客のペイロードを含めた衛星の開発と製造、試験を進め、打ち上げ後の運用も担うAxelLiner Terminalである。
Webブラウザ経由でアクセスできるAxelLiner Terminalは、例えばビジネスデザインプロセスでは。小型衛星のスペックや運用目的、ビジネス要求、サービスの構成といった要件を入力することで、衛星の外観イメージや設計案などが自動で出力されるようになっている。AxelLiner Terminalによって管理されるデータをデジタルツインとすることで、実際に製造して打ち上げた衛星の運用を自動化することなども可能になるという。
また、衛星の開発と製造、試験のプロセスについては、機械部品調達サービス「meviy」を展開するミスミグループや宇宙機の部品製造で多数の実績を持つ由紀ホールディングス、特殊物流で強みを持つCarim Engineeringなどと構成する宇宙機製造アライアンスを活用する。宇宙機製造アライアンスは、ピラミッド型の多重下請け構造ではなく、参加企業が対等な関係を持って迅速な意思決定を行い、小型衛星のマスカスタマイゼーションに対応する。
なお、AxelLinerに基づくプロトタイプとして現在開発中で、2024年1〜3月期に打ち上げる小型衛星が「Pyxis」だ。Pyxisは、AxelLinerをハードウェア面での共通基盤となる汎用バスシステムの実証に加えて、AxelGrobeの次世代衛星に搭載するセンサーの先行実証、ソニーグループのLPWA(低消費電力広域)ネットワーク「ELTRES」による衛星無線通信の実験などを行う予定である。
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