車載コミュニケーションゲートウェイ用SoC向けに低価格の開発ボードを発売:車載ソフトウェア
ルネサス エレクトロニクスは、車載コミュニケーションゲートウェイ用のシステムオンチップ「R-Car S4」のソフトウェア開発向けに、低価格開発ボード「R-Car S4 Starter Kit」を発表した。
ルネサス エレクトロニクスは2023年7月11日、車載コミュニケーションゲートウェイ用のシステムオンチップ(SoC)「R-Car S4」のソフトウェア開発向けに、低価格の開発ボード「R-Car S4 Starter Kit」を発表した。
R-Car S4は、クラウド通信と安全な車両制御を両立するため、高性能なコンピューティングと豊富な通信機能を備えている。これまで開発環境として「R-Car S4 Reference Board」を提供しているが、入手しやすい低価格のキットを提供することで、早期のプロトタイプ開発が可能になった。
R-Car S4 Starter Kitには、イーサネットTSNスイッチやCAN FDといったR-Car S4の主要なインタフェースをはじめ、4GBのLPDDR4、128GBのUFS、64MBのQuad SPIフラッシュなどのメモリを搭載する。また、拡張コネクターを活用し、ユーザーがニーズに合わせてハードウェアをカスタマイズできる。
同年8月末には、オープンな車載開発環境「R-Car S4 Whitebox SDK」がR-Car S4 Starter Kitに対応する予定。無線通信でソフトウェアをアップデートするOTA、ネットワークセキュリティとしてのIPS(不正侵入防止システム)やIDS(不正侵入検知システム)、リソースモニタリングツールなどが含まれており、さまざまな試作や評価が可能だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ECUの試作前から動作検証できる、車載ソフトウェア向け統合開発環境を提供
ルネサス エレクトロニクスは、車載ソフトウェア向け統合開発環境を発表した。ハードウェアのない初期段階から、仕様や機能、性能の検証が可能で、複数のデバイスを搭載したECUレベルのソフトウェアを開発できる。 - AD/ADAS向けAIソフトを車載用SoCに最適化するツール群を共同開発
ルネサス エレクトロニクスとフィックスターズは、ADおよびADAS向けAIソフトウェアを車載用SoC「R-Car」に最適化するツール群を共同で開発した。第1弾として、「R-Car V4H」向けツールの提供を開始した。 - 車載ディープラーニング分野で協業、ADASやADのシステム開発と運用を支援
ルネサス エレクトロニクスとフィックスターズは、車載ディープラーニング分野で協業する。共同ラボを設立し、R-Car用クラウド評価環境「GENESIS for R-Car」を提供することで、ADASやADシステムの開発と運用を支援する。 - トヨタの次世代マルチメディアシステムがルネサス「R-Car」採用、新型「NX」から
ルネサス エレクトロニクスは、同社の車載用SoC「R-Car」がトヨタ自動車の次世代マルチメディアシステムに採用されたと発表した。2021年秋ごろ発売予定のレクサスブランドの小型SUV「NX」を皮切りに、順次レクサスブランドとトヨタブランドの車両に搭載される予定である。 - CPUの動作周波数を20%向上、最新車載用SoCのサンプル出荷を開始
ルネサス エレクトロニクスは、第3世代の車載用SoC「R-Car」のCPU性能を向上させた、「R-Car Gen3e」シリーズ6製品のサンプル出荷を開始した。そのうち3製品は、CPUの最大動作周波数が従来比で約20%向上している。 - ルネサスが自動運転向けに“最高性能”のSoC、NVIDIAと競わず現実解を提供
ルネサスエレクトロニクスは2020年12月17日、次世代のADAS(先進運転支援システム)やレベル3以上の自動運転システムに向けた車載用SoC(System on Chip)「R-Car V3U」を発表した。同社のR-Carシリーズとしては最も高い性能を発揮する。同日からサンプル出荷を開始し、2023年第2四半期の量産を予定している。