車載ディープラーニング分野で協業、ADASやADのシステム開発と運用を支援:人工知能ニュース
ルネサス エレクトロニクスとフィックスターズは、車載ディープラーニング分野で協業する。共同ラボを設立し、R-Car用クラウド評価環境「GENESIS for R-Car」を提供することで、ADASやADシステムの開発と運用を支援する。
ルネサス エレクトロニクス(ルネサス)は2022年3月2日、車載ディープラーニング分野における、フィックスターズとの協業を発表した。ADAS(高度運転支援システム)とAD(自動運転)システムの早期開発や継続的運用を支援する。
今回の協業により、同年4月にルネサスの車載用LSI向けソフトウェアと運用環境を開発するラボ「Automotive SW Platform Lab」を設立する。また、同日付で、R-Car用クラウド評価環境「GENESIS for R-Car」の提供も開始した。
共同ラボでは、ディープラーニング向けのソフトウェア開発を進める。また、学習したネットワークモデルを継続的に更新し、認識精度と性能を維持向上する、ADASおよびADシステムの運用環境構築に向けた技術開発を進める。
協業の一環として提供を開始したGENESIS for R-Carは、専門的な技術がなくても、デバイス選定のための初期評価をすぐに実施できる。プラットフォームには、フィックスターズの半導体デバイス評価環境「GENESIS」を採用している。
また、ResNetやMobileNetなどの汎用的なCNNネットワークモデルを使用し、サンプル画像を車載向けSoC「R-Car V3H」で処理した実行時間(fps)と認識精度(%)を確認できる。評価デバイスとネットワークを選択すれば、実機にリモートアクセスして画像分類や物体検出の評価結果を確認可能だ。任意の画像や動画データも利用でき、ユーザーシステムとR-Car V3H環境の適合性を早期に評価する。
両社は今後、ユーザー独自のCNNネットワークモデルを使用した評価サービスの提供にも取り組むとしている。
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