トヨタの次世代マルチメディアシステムがルネサス「R-Car」採用、新型「NX」から:組み込み採用事例
ルネサス エレクトロニクスは、同社の車載用SoC「R-Car」がトヨタ自動車の次世代マルチメディアシステムに採用されたと発表した。2021年秋ごろ発売予定のレクサスブランドの小型SUV「NX」を皮切りに、順次レクサスブランドとトヨタブランドの車両に搭載される予定である。
ルネサス エレクトロニクスは2021年10月26日、同社の車載用SoC(System on Chip)「R-Car」がトヨタ自動車の次世代マルチメディアシステムに採用されたと発表した。2021年秋ごろ発売予定のレクサスブランドの小型SUV「NX」を皮切りに、順次レクサスブランドとトヨタブランドの車両に搭載される予定である。
トヨタ自動車の次世代マルチメディアシステムは、大型化/高解像度化した最大14インチワイドタッチディスプレイを採用している。表示エリアを柔軟に分割、拡大/縮小することができ、先進性と利便性に優れる。音声による高速起動が可能な音声認識機能や、車載専用のサウンドシステム、OTA(Over the Air)によるソフトウェアアップデート機能も備える。
その中で、ルネサスのR-Carが担っているのは、地図情報やユーザーが好むスマートフォンなどの各種デバイスの映像、車載連携アプリの大型ディスプレイへの表示、指でディスプレイに触れるタッチ操作機能、マイク入力による音声認識機能、複数の車載スピーカへの音声出力を担っている。また、R-Car内蔵のセキュリティ機能による安全なOTAや、高い処理能力による最先端のコネクテッドサービスの提供も可能にしている。
今回採用されたR-Carは、IVI(車載情報機器)向けでハイエンドモデルとなる「R-Car H3」とミッドレンジモデルの「R-Car M3」だ。マルチメディアシステムの機能は車種により異なるため、ハイエンドのフル機能搭載の車種にはR-Car H3、それ以外ではミドルレンジのR-Car M3が採用された。なお、R-Carは、チップ間のソフトウェアの継承性に優れているため、幅広い車種に展開する際の開発の効率化に貢献するという。
トヨタ自動車 コネクティッド基盤開発部 部長の小林正人氏は「CASE(コネクテッド、自動運転化、シェアリング/サービス、電動化)時代において多様化する顧客のニーズに寄り添う新マルチメディアシステムを開発した。最先端のシステムを実現するため、性能確保と複雑なソフトウェアの効率的な開発は大きなチャレンジだったが、ルネサスのR-Carは車載専用のSoCとして性能も信頼性も高く、エコシステムも充実していたことにより、この革新的なマルチメディアシステムを実現することができた」とコメントしている。
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