地産地消で生産の国内回帰を推進、パナソニックが目指す業務用空質空調事業の成長:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
パナソニック 空質空調社は、業務用空質空調事業の成長戦略を発表。事業強化に伴い国内回帰を推進している群馬県大泉工場を公開した。
生産の地産地消化と国内回帰を推進
これらの事業強化を進めていくためには、生産能力の強化も必要になる。パナソニック 空質空調社では、従来は中国2工場と日本、マレーシアの4つの生産拠点で、業務用の空質空調製品を製造してきたが、安定供給とリードタイム短縮を目指して地産地消化を推進。日本向けの製品については、基本的に群馬県の大泉工場に生産を戻し、消費地に近いところで生産が行えるように現在準備を進めているところだ。
池田氏は「一部の製品以外は、地産地消化を進め、国内向けの製品は基本的に大泉工場で作る体制とする。ビル用マルチエアコンについては中国の大連工場やマレーシアの工場で生産していたものを大泉工場に戻し始めた。今後はビル用マルチエアコンの室外機については、国内生産比率が1割以下だったものを100%国内生産とする。また、室内機については国内生産が30%程度だったのを90%程度まで引き上げる」と述べている。
既にマレーシア工場からの移管については完了しており、2023年4月からマレーシア工場からの移管分は大泉工場での生産が始まっている。大連工場からの移管分については2023年8月末まで移管作業を行い、同年9月から生産開始を予定する。移管による生産増強に合わせて人員も約2割増やす計画で現在準備中だという。関連する設備投資額については約20億円を予定している。
生産の集中化や物流距離の短縮化で、サプライチェーンなども含めたリードタイムは従来比で3分の2程度まで短縮する計画だ。同時に大泉工場での生産性向上も推進し、生産性20%向上を目指す。多品種少量生産が多いため大泉工場での自動化率は2割程度にとどまっていたが、ロボット化や自動化を推進し、人手とのハイブリッド型の生産ラインの構築を進める。「人手に頼っていた工程も多く、まずは標準化を進め、さらに標準化できたところから、ロボットなどに代替できるところを見つけていけば、まだまだ生産性を高めることができる」(パナソニック 空質空調社)。
その他、工場全体で取り組むスマート工場化への推進についても「8つのトピックで進めている。カメラとデータを用いたポカヨケなどいくつか成果も出ている」(パナソニック 空質空調社)としており、今後強化する方針だ。
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