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工場機能やビジネス拠点としての役割も取り込む物流施設の新たな姿物流のスマート化(2/2 ページ)

物流拠点の役割が多様化する中、最新の施設ではどのような動きがあるのだろうか。物流施設の開発や運営を行う日本GLPの「GLP ALFALINK流山」施設見学会の様子を紹介する。

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工場としてGLP ALFALINK流山を活用するピースデリ

 GLP ALFALINK流山を精肉や鮮魚の製造拠点として活用しているのがピースデリである。ピースデリはセブン&アイ・ホールディングス傘下で首都圏のスーパーマーケットを中心に生鮮食品や総菜を供給する企業である。セブン&アイ・ホールディングスが40%、イトーヨーカ堂が30%、ヨークが30%の資本を出資している。2023年3月に流山キッチンとして、GLP ALFALINK流山内で稼働を開始した。

 小売業における人手不足などが深刻化する中で従来は店舗で行ってきた精肉や鮮魚の加工なども店舗側で行うのが難しくなってきている。ピースデリはこうした加工を一括で行う機能を持つ。また、最終的に製品をそれぞれの店舗に届けることを考えると、物流拠点と一体であることが望ましい。これらの点からGLP ALFALINK流山を活用することを決めたとしている。そのため、加工から仕分け、配送まで一貫した工程を組むことができている。

 具体的には鮮魚切り身加工、鮮魚生食加工、精肉加工などを行っている。加工場内は全て5℃以下で管理されている。品質や生産性向上のために、食品の保存に適したガスを封入するガス置換包装機や、設定した重量に合わせて肉をカットする定貫スライサー、磁力と電磁波で急速凍結するプロトン凍結機など、さまざまな製造機器を導入している。

photophoto 精肉の加工の様子(左)と鮮魚の加工の様子(右)[クリックで拡大]
photophoto 細胞壁を壊さず触感や味を維持した凍結が行えるプロトン凍結機(左)と金属片や異物の混入などを抑える金属探知機とX線検査装置(右)[クリックで拡大]

ビジネス拠点としてGLP ALFALINK流山を活用するアンテポスト

 一方、GLP ALFALINK流山をビジネス拠点として活用しているのが、オンラインクレーンゲーム「クラウドキャッチャー」を展開しているアンテポストだ。オンラインクレーンゲームとは、アミューズメント施設のクレーンゲームをスマートフォンアプリやWebブラウザ経由で遠隔操作して遊ぶことができるオンラインゲームである。インターネット経由だが、実際にリアルでクレーンゲームを動かせるハイブリッド性が特徴だ。

 アンテポストではGLP ALFALINK流山内に、インターネットに接続したクレーンゲーム機340台を並べ、これらをWebカメラで撮影し、アプリから接続があるとこれらを実際にユーザーが遠隔操作して賞品獲得を目指す。賞品が無事に獲得できた場合は、アラートが従業員に発信され、ユーザーがその賞品の発送を求れば、クレーンゲーム機横の棚から指定の商品をピックアップしてすぐに発送する。こちらも物流が前提となっているビジネスモデルであるため、物流拠点併設の利点を生かしつつ、スペースも含めた労働環境やコスト面でのメリットがあるという。

 アンテポストは現在はGLP ALFALINK流山8に入居しているが、新たに完成したGLP ALFALINK流山4に拡充して移転することも予定している。「同業他社では倉庫などを活用して同様のビジネスを展開する企業もあるが、倉庫は人が働くことが前提となっていないので過酷な労働環境となることも多い。GLP ALFALINK流山では、働き方などにも配慮があり働きやすい環境を用意できる。一方で、専門の施設を借りるよりもコストが安いという利点がある」(アンテポスト)としている。

photophoto オンラインクレーンゲームが並ぶアンテポストの拠点(左)と賞品棚(右)[クリックで拡大]

 ALFALINKは今後2024年には大阪府茨木市、2025年には兵庫県尼崎市でも展開予定だ。帖佐氏は「物流拠点をインテグレーテッドチェーンのカギとしてサプライチェーンのより多くの機能を集約できるようにしていく。物流の2024年問題なども含め、人件費や作業効率改善などまだまだできることは多くある。将来の姿をイメージしながら何ができるかを捉えて手を打っていきたい」と語っている。

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