ネガティブな現場イメージ変える、地域に開かれた新コンセプトの物流施設:物流のスマート化
物流施設の開発や運営を行う日本GLPは2022年6月15日、「GLP ALFALINK 茨木」(大阪府茨木市)と「GLP ALFALINK 尼崎」(兵庫県尼崎市)の開発計画に関する発表会を開催した。同社が展開する、地域に開かれた物流施設「ALFALINK(アルファリンク)」ブランドを冠する施設として建設される。
物流施設の開発や運営を行う日本GLPは2022年6月15日、「GLP ALFALINK 茨木」(大阪府茨木市)と「GLP ALFALINK 尼崎」(兵庫県尼崎市)の開発計画に関する発表会を開催した。同社が展開する、地域に開かれた物流施設「ALFALINK(アルファリンク)」ブランドを冠する施設として建設される。
地元住民の交流図る
「GLP ALFALINK 茨木」の所在地は大阪府茨木市南目垣・野々宮区画整理事業地内で、敷地面積は13万5000m2、延べ床面積は32万m2を予定する。敷地内に3棟を建設する予定で、全棟の竣工は2025年7月となる見通し。一方、「GLP ALFALINK 尼崎」の所在地は兵庫県尼崎市道意町で、敷地面積は16万3000m2、延べ床面積は36万8000m2となる予定。敷地内に施設2棟を建設予定で、全棟の竣工は2026年6月になる見通しだ。
GLP ALFALINK 茨木は大都市圏に近接しており従業員を確保しやすい上、商業施設などを併設するため、地元住民や多くの人が訪問する場所になると期待されるという。災害発生時には地域拠点となり、物資搬送などに貢献することも可能だ。
敷地内に、従業員や一般の施設訪問者も利用できるカフェテリアやコンビニエンスストア、託児所の他、屋外マルチコート、ランニングコート、フィットネスジムなどを設置する。多目的スペース、ギャラリーも開設予定で、施設利用企業同士や地域住民とのコミュニケーションを促進する。倉庫業務に付帯する危険性に遭遇するリスクを減らすため、歩車分離を行い、共有施設のメインフロアを2階にするなどの工夫も取り入れる。また循環バスなどで他の商業施設とも連携し、利便性を高める。
GLP ALFALINK 尼崎は大阪エリアと神戸エリアを結ぶ流通要所であることに加えて、工業地域や住居地域、行政施設に近く、こうした立地条件を生かした各種取り組みを進める予定だという。GLP ALFALINK 茨木と同様の共有施設の設置に加えて、物流会社の輸配送中継地点としてトラックターミナルの誘致などを進める。加えてニーズの高まる冷凍、冷蔵商品向けの施設導入も検討する。
また、GLP ALFALINK 茨木とGLP ALFALINK 尼崎の両施設ともに、屋上に大規模な太陽光発電システムを設置して再生可能エネルギー活用を推進し、加えて、LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)認証やZEB(Net Zero Energy Building)認証取得も目指す。
ネガティブなイメージ払しょく目指す
ALFALINKブランドを通じて日本GLPは、地域のオープンハブとなる物流施設の展開を推進している。
同ブランドを立ち上げた背景について、日本GLP 代表取締役社長の帖佐義之氏は「これまで物流業や倉庫業は、業務がつらい、働く環境が悪いといった印象に加えて、長時間労働や人手不足、従業者の高齢化、デジタル化が遅れている、といったネガティブなイメージを抱かれがちだった。加えて、人々の生活に密接した仕事であるにもかかわらず、認知度が高くない。社会科見学で工場見学をしたことはあっても物流施設を訪れる人はいない。また自治体などの行政組織は工場は歓迎しても、物流施設の誘致には消極的な場合がある。物流施設への理解が不足しているゆえんではないか」と語った。
こうした構想に基づき、日本GLPはALFALINKブランドの第1号となる「GLP ALFALINK 相模原」(神奈川県相模原市)を2021年11月に、次いで「GLP ALFALINK 流山」(千葉県流山市)をオープンした。これらの開設時には街開きイベントを開き、地域住民なども参加したという。
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