異常予兆検知にリアルタイム映像解析を追加、NECファシリティーズが機能拡張:インターフェックスWeek 2023
NECファシリティーズは、「第25回 インターフェックスジャパン」において、工場設備の異常予兆検知システム「NEC DFM Presagio II」の展示を行った。
NECファシリティーズは、「インターフェックスWeek東京2023」(2023年7月5〜7日、東京ビッグサイト)内の「第25回 インターフェックスジャパン」において、工場設備の異常予兆検知システム「NEC DFM Presagio II」の展示を行った。“II”とある通り、2021年4月に発表した「NEC DFM Presagio」の機能拡張版となる。
NECファシリティーズによる「NEC DFM Presagio II」の展示。赤丸で示した位置に設置した監視カメラを用いて、青丸の位置にある制御盤のアナログ/デジタルメーターの表示やスイッチの状態などのリアルタイム映像解析を行う[クリックで拡大]
NEC DFM Presagioは、工場やプラントで用いられている設備のうち、冷凍機やボイラー、空気圧縮機といったセンサーを備える大型設備だけでなく、モーターやポンプ、ファンなどのセンサーを持たない付帯設備についても、IoT(モノのインターネット)とAI(人工知能)を活用して異常予兆検知を遠隔かつ容易に行えるようにすることがコンセプトとなっている。異常予兆検知のセンシングについては、付帯設備に設置する振動センサーを用いていた。施設内を撮影した画像との連携も可能だが、事前に撮影した静止画に基づきセンサーを設置した付帯設備の位置を見える化することが目的となっていた。
今回展示したNEC DFM Presagio IIの最大の特徴は、監視カメラで収集するリアルタイム映像データに基づいた異常予兆検知を行えるようになったことだ。キヤノン製の監視カメラと画像処理ソフトウェア「Vision Edition」を組み合わせることで、アナログ/デジタルメーターの読み取り、制御盤のランプ点灯確認、設備の表示パネルの内容確認といったこれまで目視で行われてきた点検についても、遠隔から異常予兆検知を行えるようになる。実際に、半導体工場を中心に設備管理サービスを提供してきたNECファシリティーズの実績でも、巡回点検のうち約7割が目視点検作業だったという。
なお、リアルタイム映像データの収集に用いる監視カメラの設置位置(監視ポイント)については、施設管理業務のノウハウを熟知するNECファシリティーズの熟練技術者の知見に基づいて選定する。Vision Editionを用いたリアルタイム映像解析についても、複数の監視ポイントの解析結果を組み合わせて異常を判定できるロジックを搭載することにより、単一の監視ポイント異常だけではなく設備の系統全体での異常判定ができるようになっている。
監視カメラのネットワーク接続については、解像度やレイテンシの観点から有線接続を推奨しているものの「工場やプラントに後付けする場合は有線接続が難しいことも多いので、Wi-Fiによる無線接続にも対応できるようにしている」(NECファシリティーズの説明員)という。
NEC DFM PresagioとNEC DFM Presagio IIは、数社の顧客の現場におけるPoC(概念実証)が実施されている段階。2024年度までには、NECファシリティーズの施設管理サービスの一環として提供を始める方針だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 工場付帯設備の異常予兆検知を自動化、NECファシリティーズが施設管理サービスで
NECファシリティーズは、「第24回インターフェックス ジャパン」において、IoTやAIを活用した工場やプラントなどの施設管理サービスのコンセプト「NEC DX Facility Management Service」の一環として提供を予定している異常予兆検知システム「NEC DFM Presagio」に関する展示を行った。 - 非常駐の設備点検、保全管理と異常予兆検知を組み合わせた保全サービスを提供
NECファシリティーズは、非常駐での各種インフラ設備の点検、保全管理業務と、設備の異常予兆を検知する技術を組み合わせた保全サービスの提供を開始した。 - IoT、AIを活用した次世代型工場施設管理業務を提供開始
NECファシリティーズは、施設管理のノウハウを取り入れたIoTおよびAIを活用することで、施設管理業務の品質を向上させる次世代型工場施設管理業務の提供を開始する。 - 製造業ならではのAI展開を目指す武蔵精密工業、その2つの挑戦(前編)
自動車部品メーカーの武蔵精密工業は、イスラエルのSIX AIとの協業により、「モノづくり×AI」による新たな価値創出に取り組んでいる。外観検査装置を展開するMusashi AIと、自律搬送ロボットソリューションを展開する634 AIの取り組みを紹介する。 - 製造現場の危険行動を自動解析、画像認識AI技術活用のモニタリングソリューション
日立ソリューションズ・テクノロジーは、画像認識AI技術を活用した安全モニタリングソリューションの第1弾「危険行動解析ソリューションパッケージ」を発売した。既存の監視カメラの設備を変更せずに導入できる。 - AIを用いてプラントを自動運転する機能を提供開始、操作効率化でコスト低減効果も
NTTコミュニケーションズは横河ソリューションサービスとともに、日本初となる、運転員の操作を学習したAIを用いてプラントの自動運転を実現する「オートパイロット」の提供を開始すると発表した。