製造業ならではのAI展開を目指す武蔵精密工業、その2つの挑戦(前編):製造現場向けAI技術(1/2 ページ)
自動車部品メーカーの武蔵精密工業は、イスラエルのSIX AIとの協業により、「モノづくり×AI」による新たな価値創出に取り組んでいる。外観検査装置を展開するMusashi AIと、自律搬送ロボットソリューションを展開する634 AIの取り組みを紹介する。
自動車部品メーカーの武蔵精密工業は、イスラエルのSIX AIとの協業により、「モノづくり×AI(人工知能)」による新たな価値創出に取り組んでいる。2023年4月25日には、武蔵精密工業本社内のMusashi AIラボで、AI技術を紹介するイベント「Far beyond Indsutry」を開催した。本稿では、同イベントの様子とともに、前編では外観検査装置を展開するMusashi AIの取り組みを、後編では自律搬送ロボットソリューション(AMR)を展開する634 AIの取り組みを紹介する。
左から634 AIのCEOであるAnat Kaphan(アナット・カファン)氏、武蔵精密工業 代表取締役社長 兼 CEOの大塚浩史氏、SIX AIのCEOであるRan Poliakine(ラン・ポリアキン)氏、Musashi AI 代表取締役の村田宗太氏
第4次産業革命に向けた新たな挑戦
武蔵精密工業は、四輪車および二輪車向けのデファレンシャルギヤやトランスミッションギヤ、ボールジョイントなどを展開する85年の歴史を持つ老舗の自動車部品メーカーだ。ただ、製造現場へのデジタル技術の活用が進む中で、「人にはもっと人らしい仕事を」という考えの下、AIの積極活用を推進。イスラエルのAI技術企業であるSIX AIと協業し、これらで得たノウハウの外部展開に取り組んでいる。その一環として2019年には外観検査装置を展開するMusashi AIを両社の合弁会社として設立。その後、新たにAMR関連ソリューションを展開する634 AIも設立し、「モノづくり×AI」による2つの新たな価値創出に取り組んでいるところだ。
武蔵精密工業 代表取締役社長 兼 CEOの大塚浩史氏は「自動車業界は100年に1度の大変革期に差し掛かっている。それはテクノロジーの進化によって引き起こされ、こうした動き全般が第4次産業革命ともいわれている。この時代にわれわれにも多くの挑戦が求められている。テクノロジーで新しい未来を作るのが、Musashi AIと634 AIで実現したいことだ」と語っている。
大塚氏との長年の友人関係があり、共同で「モノづくり×AI」による新たな価値創出に取り組むSIX AIのCEOであるRan Poliakine(ラン・ポリアキン)氏は「本日(2023年4月25日)はちょうどイスラエルが建国されて75周年となる日だ。イスラエルは何もないところから建国され、その1日目からあらゆることに取り組んで生き残ってきた国だ。そのために新規性や創造性、アジリティなどが特徴の国だ。一方で日本は時間に正確であったり完璧を求めるなど豊富なレガシーを持つ国で、特徴に大きな違いがある。両者の強みを組み合わせることで、新たな成長ができる」と協力の意義について述べている。
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