工場付帯設備の異常予兆検知を自動化、NECファシリティーズが施設管理サービスで:インターフェックス Week 2022
NECファシリティーズは、「第24回インターフェックス ジャパン」において、IoTやAIを活用した工場やプラントなどの施設管理サービスのコンセプト「NEC DX Facility Management Service」の一環として提供を予定している異常予兆検知システム「NEC DFM Presagio」に関する展示を行った。
NECファシリティーズは、「第24回インターフェックス ジャパン」(2022年7月13〜15日、東京ビッグサイト)において、IoT(モノインターネット)やAI(人工知能)を活用した工場やプラントなどの施設管理サービスのコンセプト「NEC DX Facility Management Service」の一環として提供を予定している異常予兆検知システム「NEC DFM Presagio」に関する展示を行った。
工場やプラントの冷凍機やボイラー、空気圧縮機といった大型設備は、センサーを備えており、制御盤を介して中央監視システムでその稼働状態を把握できる。一方、モーターやポンプ、ファンなどの付帯設備はセンサーを持たず、作業員が巡回してアナログメーターの数値などを目視で確認して管理するのが一般的だった。NEC DFM Presagioは、熟練作業員でなければ判別できなかった付帯設備の異常予兆検知をIoTとAIの活用によって、遠隔かつ容易に行えるようにするシステムである。
システムを構成する要素は「3Dウォークスルービュー」と「AIによる振動閾値自動測定」に分けられる。3Dウォークスルービューは、3Dスキャナーなどで取得した施設内の静的な地図データを基に、動的な状態を確認したい付帯設備については監視カメラを使って見られるようにするものだ。「あたかも自分がその場にいるように施設内を移動しながら、閲覧したい設備についてはその状態をリアルタイムで確認できる」(NECファシリティーズの説明員)。
なお、展示デモでは、NECの玉川事業所(川崎市中原区)の地下1階施設内と会場をつないで、3Dウォークスルービューで確認することができた。3Dスキャンデータは、Matterportを用いて制作した。
AIによる振動閾値自動測定では、付帯設備に振動センサーを設置して、振動データが一定の閾値を超えた場合には異常の予兆と見なす。ここで重要になる“一定の閾値”は、NECファシリティーズが20年間蓄積した28万件の振動測定データと、施設管理の熟練者が経験に基づいて決めていた閾値のデータから開発したAIモデルを用いて、モーターや軸受のスペック、設置基礎の種類などの環境条件を入力するだけで自動的に設定できるようになっている。
現在、NEC DFM Presagioは、NECグループ内での実証を進めている段階。2022年度内にAIによる振動閾値自動測定のさらなる高精度化や、業務アプリケーション化などを進めて、2023年度内にNECファシリティーズの施設管理サービスの一つとして提供を始めたい考えだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 数年後に古典コンピュータを超える量子コンピュータ、IBMは事業化に舵を切る
日本IBMが量子コンピュータに関する取り組みの最新状況について説明。IBMが1970年代から研究を続けてきた量子コンピュータの現在の開発状況や、日本での事業展開、今後の実用化に向けた取り組みなどについて紹介するとともに、「量子コンピュータの事業化が既に始まっている」ことなどを訴えた。 - 量子コンピュータが普及しても古典コンピュータは駆逐されないーーIBM
IBMは2021年9月21日、量子コンピュータ関連技術が産業界にもたらす影響などをまとめたレポート「The Quantum Decade」の日本語版を公開した。同社は量子コンピュータのビジネスサービス開発部門「Quantum Industry & Technical Services(QI&TS)」も擁する。 - 「誤り訂正」なくても実用化可能か、IBMの量子コンピュータ開発ロードマップ
日本IBMは2022年6月29日、同社が同年5月に公開した量子コンピュータの開発ロードマップに関するオンライン説明会を開催した。ハードウェアだけでなく、ソフトウェアや周辺機器なども併せて開発を進め、量子コンピュータの性能向上を図っていくとした。 - 「NISQ」による量子コンピュータ応用、「Amazon Braket」がハードルを下げる
AWSジャパンが量子コンピューティングサービス「Amazon Braket」や、量子コンピュータの技術動向について説明した。Amazon Braketは「全ての開発者、科学者の手に量子コンピューティングを」というコンセプトのフルマネージドサービスで、AWSの他のサービスと同様の手軽さで利用できるという。 - その名も「kawasaki」、国内初のゲート型商用量子コンピュータが稼働
東京大学とIBMは、日本初導入となるゲート型商用量子コンピュータ「IBM Quantum System One」が稼働を開始したと発表。設置場所は「新川崎・創造のもり かわさき新産業創造センター」で、東京大学が設立した量子イノベーションイニシアティブ協議会に参加する慶應義塾大学や、日本IBMを含めた企業11社を中心に活用を進めることになる。 - 量子産業の創出加速で「国内1000万人の利用目指す」、活動の幅広げるQ-STAR
量子技術による新産業創出協議会(Q-STAR)は2022年5月23日、同日開催のシンポジウムで、「一般社団法人 量子技術による新産業創出協議会」として社団法人化することを発表した。シンポジウムでは、Q-STARの活動報告と今後の取り組みについても説明が行われた。