アイティメディアの受付エリアをiPhoneでサクッと3Dデジタルツイン化してみた:Matterport Axis 体験レポート(1/4 ページ)
2022年4月に日本法人を設立したMatterport(マーターポート)。同社が提供するスマホ向けの空間3Dキャプチャーアプリ「Matterport Capture」と、間もなく国内での販売が開始されるモーター駆動式自動回転雲台「Matterport Axis」を用いて、アイティメディアの受付エリアの空間3Dキャプチャーを行ってみた。
工場やオフィスのレイアウト確認、ショールームのバーチャルツアーなど、実際の物理空間を3Dでデジタル化して、ビジネスの現場で役立てようとする動きが進展しつつある。工場や建築物などであればCADベースの図面が存在するかもしれないが、実際に設備機器が設置されていたり、棚などの什器(じゅうき)が置かれたりといった“リアルな今の状態”をデジタル化したい場合には、3Dレーザースキャナーなどの専用機材で空間データを取得する必要がある。
空間データを高精度に取得するとなると、産業用途向けのハイエンドな機材が必要になるが、ショールームのバーチャルツアーなどのように“精度はそれなり”で問題ないようであれば、360度カメラなどでも十分に対応できる。また、最近では高機能・高性能化が進むスマートフォンで空間データを取得するケースも見られる。
例えば、Appleの「iPhone 12 Pro/13 Proシリーズ」の場合、高解像度で望遠/広角/超広角でのカメラ撮影が可能で、「LiDAR(ライダー)スキャナ」も搭載している。このLiDARスキャナがあることで、さまざまな空間の深度マップを作成することが可能だ。App StoreにLiDARスキャナに対応した3Dスキャン/3Dキャプチャーアプリなどがいくつか公開されているので、実際に試したことのある方も多いだろう。
ただ、非常に手軽に空間や物体を3Dキャプチャーできる半面、手振れなどの影響で精度がイマイチだったり、うまく撮影できずに何度もやり直したりといったことが起こり得る。お試しや個人的な趣味の範囲であれば、それでも問題ないかもしれないが、冒頭に挙げたようなビジネス用途の場合、作業効率や精度が求められる。
Matterportが手軽・高品質に空間3Dキャプチャーできる新製品を投入
こうしたニーズに対して、プロ向けの3Dキャプチャー機材などの販売や撮影代行サービスを手掛けるのが、2022年4月に日本法人を設立したばかりのMatterport(マーターポート)だ。同社は、ハイエンドの専用機材だけでなく、市販の360度カメラやスマートフォンなどを用いた空間3Dキャプチャーソリューションを展開しており、これまでにおよそ670万もの建物がMatterportによって3Dデジタルツイン化されているという。
また、同社は新たに、スマートフォン向けに展開する空間3Dキャプチャーアプリ「Matterport Capture」(iOS/Android対応)と組み合わせて利用可能な、モーター駆動式の自動回転雲台「Matterport Axis」(販売予定価格:1万円台)の日本での販売を、2022年5月中旬以降に開始する予定で、スマートフォンを用いた空間3Dキャプチャーをハンズフリーかつ手軽に実現できる環境を提供しようとしている。
今回、特別に国内販売開始前のMatterport Axisの体験機会を得たので、筆者所有の「iPhone 12 Pro」を用いて、アイティメディアのオフィス受付エリア周辺を3Dキャプチャーし、3Dデジタルツイン化してみた。以降、事前準備や手順などを含めて使用感をレポートする。
スマホアプリで空間を3Dキャプチャー、クラウド上のAIが処理
ソフトウェア側の準備としては、空間3DキャプチャーアプリであるMatterport CaptureをApp Storeから入手してiPhoneにインストールする。併せて、初回起動時にログインが求められるので「Matterportクラウド」のアカウント登録(無料)を行っておく必要がある。なお、無料アカウントの場合、クラウド上でアクティブに管理できるスペース(空間)の数は1つのみとなっており、それ以上作成する場合には、月額サブスクリプションの有償プランを選択しなければならない。
iPhoneにインストールしたMatterport Captureで空間の3Dスキャンを行った後、Matterportクラウドへデータをアップロードすることで、Webブラウザ上で空間データを確認したり、詳細情報を設定したり、動画(MP4、アニメーションGIF形式)や画像(JPG形式)で空間データをダウンロードしたりできる。また、「Mattertag」と呼ばれるタグ機能を用いて、アップロードされた空間データ上のオブジェクトに対して説明文やURLを付加したり、YouTubeなどの動画を埋め込んだりすることが可能だ。
Matterport CaptureおよびMatterportクラウドの詳細な使い方については割愛するが、それぞれ日本語にも対応しているため、操作や使い方に戸惑うことはほとんどなかった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.