空間3Dキャプチャー/3Dデジタルツインの米Matterportが日本法人を設立:VR/AR/MRニュース
空間3Dキャプチャー技術を用いて、建物をはじめとする構造物の3Dデジタルツインの作成を支援する米Matterport(マーターポート)は2022年4月14日、オンラインで日本法人設立に関する記者説明会を開催した。
空間3Dキャプチャー技術を用いて、建物をはじめとする構造物の3Dデジタルツインの作成を支援する米Matterport(マーターポート)は2022年4月14日、オンラインで日本法人設立に関する記者説明会を開催した。
Matterportは、物理空間の3Dデジタルツインを作成するための3Dキャプチャーシステムやソフトウェア、クラウドラットフォーム、撮影代行サービスなどを提供する2011年創業の米国ベンチャー企業である。現在、不動産業、建設業、宿泊業、小売業、製造業などをメインターゲットに、世界177カ国以上、約50万ユーザーを抱えており、これまでにおよそ670万もの建物がMatterportのソリューションによってデジタル化されているという。
2017年にMatterportは日本進出を果たし、日本オフィスを設立。その直後から日本国内においても不動産、建設業などを中心に採用が進み、販売実績を伸ばしてきた。そして、日本市場でのさらなる事業拡大を目的に、2022年4月に日本法人を設立するに至った。2017〜2020年にかけて当初1社だった販売代理店を2社に増やし、日本市場での実績を順調に積み上げてきたMatterportは、今回の日本法人設立を機にその動きをさらに加速させ、日本市場でのビジネス拡大、販売実績をより大きく伸ばしたい考えだ。
米Matterportの日本法人であるマーターポート 執行役員 社長の蕭敬和(しょうけいわ)氏は「日本法人の設立を機に、販売チャネルと販売エリアを拡大し、日本全国での販売を強化していきたい」と意気込む。
Matterportの特長とビジネスモデル
Matterportの技術的優位性は、空間の中を実際に歩いているかのようなリアル感のある「ウォークスルー」の実現と、建物を立体的に見て全体を俯瞰したり、階層構造ごとに空間を把握したりといったことが可能な「ドールハウス」にあるという。記者説明会では、一般的な360度画像を用いた3D空間での動きと、Matterportのウォークスルーの動きを比較し、前者では不自然な画面遷移が見られるのに対し、後者では非常に滑らかかつ自然に空間を移動できる点をアピールしていた。
3Dデジタルツインの基となる空間データは、専用3Dカメラ「Matterport Pro2」やスマートフォンと組み合わせて使用できる新製品のモーター駆動式自動回転雲台「Matterport Axis」などで撮影する他、同社が撮影を代行する「Matterport キャプチャーサービス」も活用できる。
これら撮影で使用する機材は、タブレット端末/スマートフォン(iOS/Android)の専用アプリと接続され、撮影データをクラウドプラットフォームにアップロードする。クラウド上では同社独自のAI(人工知能)技術「Matterport Cortex AI」によって画像分析/合成処理され、3Dモデルが生成されて配信可能な状態となる。3Dの空間データはWeb上の専用ダッシュボードで「スペース」として管理される。ここでは、取り込んだ3D空間内にタグや情報を埋め込んだり、オブジェクト同士の距離を計測したりといった作り込みが可能な他、閲覧や情報共有の設定が行える。
そして、発行されたURLから撮影した空間の3Dデジタルツインにアクセスしたり、タブレット端末やVR(仮想現実)用HMD(ヘッドマウントディスプレイ)などで閲覧したりできる。
クラウドプラットフォームの利用は、一般ユーザー向け/中小企業向け/エンタープライズ向けで月額使用料が異なるサブスクリプション方式での提供となる。また、1スペースのみ作成できる無償版アカウントも用意する。その他、機能拡張のためのAPI(Application Programming Interface)やSDK(Software Development Kit)も有償で提供するとしている。
高価な専用3Dカメラが不要で、手持ちのスマートフォンによる安定した空間3Dキャプチャーを支援するモーター駆動式の自動回転雲台であるMatterport Axisに関しては「米国では既に先行して販売開始しており、日本では2022年5月中旬以降の販売を予定する。価格は1万円台を予定し、個人での購入も可能だ」(蕭氏)としている。
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