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ナノ分離膜を用いた二酸化炭素回収技術の早期実用化に向け、新会社を設立:脱炭素
双日は、ナノ分離膜を用いて大気から二酸化炭素を直接回収する「m-DAC技術」の実用化に向け、新会社を設立した。当初、2030年としていたm-DAC実用化の目標を2020年代後半に前倒しし、早期の製品実用化を目指す。
双日は2023年6月12日、ナノ分離膜を用いて大気から直接CO2を回収する技術「m-DAC(membrane-based Direct Air Capture)技術」の実用化に向け、新会社を設立したと発表した。
新会社の「Carbon Xtract(カーボン エクストラクト)」は、材料ベンチャーのナノメンブレンらと共同で設立。九州大学も出資を検討している。
m-DACは、九州大学が研究開発を進めている技術だ。空気を膜でろ過するだけでCO2を回収でき、従来のCO2分離膜に比べ、極めて高いCO2透過性を持つ。
同技術では、回収装置を設置する場所の制約が緩和されるだけでなく、回収に必要なエネルギーも大幅に削減できる。また、CO2吸収液などの薬剤が不要で、分離膜のモジュール化により必要に応じてCO2回収量を調整できるため、多様な装置やサイズでの活用が見込まれる。
九州大学と双日は2022年2月に、同技術の社会実装に関する覚書を締結している。当初2030年としていたm-DAC実用化の目標を2020年代後半に前倒しし、早期の製品実用化を目指す。新会社の設立により、双日は自社が持つ顧客ネットワークによる共創を通じ、m-DACの実用化を加速させる考えだ。
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