深層学習を活用した画像解析で養殖マグロの個体数を自動カウント:人工知能ニュース
電通国際情報サービスは、双日、及びマグロ養殖事業を展開する双日ツナファーム鷹島と共同で、深層学習を活用した画像解析技術を用いて養殖マグロを自動カウントするシステムの共同実証実験を開始した。
電通国際情報サービス(ISID)は2017年8月8日、双日、及びその子会社でマグロ養殖事業を展開する双日ツナファーム鷹島と共同で、深層学習を活用した画像解析技術を用いて養殖マグロを自動カウントするシステムの共同実証実験を開始したと発表した。同年8月1日〜10月31日にかけて、双日ツナファーム鷹島が運営する長崎県松浦市の漁場で実施される。
実証実験では、いけす内の養殖マグロの生育環境を踏まえた上で、まず深層学習による解析に適した映像撮影を行う方法を確立。次いで個体数把握に適した深層学習アルゴリズムを適用してプロトタイプシステムを開発し、その有用性を検証する。
深層学習による画像解析の精度向上のため、実証実験では、高性能水中カメラや水中ドローンなどにより撮影作業をリモート化する。併せて、いけすの配置調整やバックスクリーンの設置などで撮影環境の最適化を図り、解析に適した映像を自動で撮影できる仕組みを構築する。
続いて、画像の「どこに」「何が」写っているかをリアルタイムかつ高精度に推測する一般物体検出のための深層学習アルゴリズムに、従来の画像認識技術を組み合わせたプロトタイプシステムを開発。マグロを認識させるための学習データを整備した上で、視認性の高い場所にフォーカスした映像の抽出や、連続したフレームに現れる個体を同一個体と見なすなどの独自のデータ処理を行い、高速で泳ぐマグロを正確にカウントするシステムの構築を目指す。このプロトタイプシステム開発には、解析アルゴリズム開発を手掛けるアラヤが技術協力している。
双日ツナファーム鷹島では、洋上のいけすの中で約3年かけて育成したマグロを出荷しているが、給餌の量や方法などの判断は経験則に基づく属人的なものとなっている。中でも、養育個体数の把握については、ダイバーが水中撮影した動画により複数の作業員が目視でカウントしており、作業負荷軽減や正確性向上が課題となる。今回の実証実験により、ISIDのノウハウを活用してこうした課題の解決を図る。
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