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静脈認証の活用シーンを拡大する、厚さ約1mmの薄型フィルムセンサーを開発:組み込み開発ニュース
モフィリアとISORGは、厚さ1mmほどの薄型センサーで静脈認証を可能にする技術を開発した。独自の反射散乱方式を採用し、静脈に照射する近赤外LEDをフィルムセンサーと同一平面状に配置できるため、より多彩な製品展開が可能になる。
モフィリアは2023年6月8日、ISORGと共同で、厚さ1mmほどの薄型フィルム状のセンサーで静脈認証を可能にする技術を開発したと発表した。
従来の静脈認証では、イメージセンサーへの集光に光学レンズを使用するため、安定した静脈画像を撮るには数cm程度の焦点距離が必要となる。一方、共同開発したセンサーは、ISORGの光学制御およびOPD(有機発光ダイオード+TFTバックプレーン)技術に、モフィリアの独自静脈認証技術を合わせることで、1mm程度と極薄でも認証可能になった。
同センサーに採用したモフィリア独自の反射散乱方式では、静脈に照射する近赤外LEDをフィルムセンサーと同一平面状に配置できるため、より多彩な製品展開が可能になる。現在、モフィリアは複数メーカーと協業を進めており、1年以内の商品化を目指す。
指紋認証は偽造の懸念に加え、乾燥や加齢などで指そのものが環境変化の影響を受けやすいといった課題がある。また、顔認証には登録への抵抗感やプライバシーの問題がある。皮膚の内部情報を用いる静脈認証は、人為的に変化を加えることが難しく、安心で利便性の高い生態認証方式として注目を集めている。
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