NEDOが重レアアースの安定確保に向け、未使用資源から分離精製する技術開発に着手:リサイクルニュース
新エネルギー・産業技術総合開発機構は、未使用の資源や使用済み部素材から重レアアースを分離精製する技術開発をテーマとして採択した。2023〜2027年度までの5年間で、総額17億6000万円の事業規模となる。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2023年6月1日、「部素材からのレアアース分離技術開発事業」で、未使用の資源や使用済み部素材をリサイクルし、重レアアース(重希土類)を分離精製する技術開発をテーマとして採択したと発表した。事業期間は2023〜2027年度の予定で、5年間で総額17億6000万円の事業規模となる見込みだ。
開発項目のうち「未利用資源からの重レアアース回収技術の開発」では、ネオジム磁石製造工場の廃液などから、ディスプロシウム(Dy)やテルビウム(Tb)などの重レアアース群のみを選択的に回収するプロセスを開発する。産業技術総合研究所(産総研)、三徳、千葉大学が参加する。
一方、「ディスプロシウム/テルビウムの高精密相互分離技術及び精錬技術の開発」では、相互分離が難しいDyとTbを高精度で分離精製する技術の開発に、産総研、三徳のほか、エマルションフローテクノロジーズ、日本原子力研究開発機構、佐賀大学、神戸大学、鹿児島大学、大阪大学が参加。また、相互分離の後工程となる精錬工程では、省エネルギー化や環境負荷の低減を図る新規電解還元法の開発に、産総研、三徳、大阪大学、京都大学、早稲田大学が参加する。
ネオジム磁石は電気自動車(EV)などのモーターに用いられ、保磁力と耐熱性を高める成分としてDyとTbを使用する。しかし、重レアアースの生産や分離精製は海外依存度が高く、供給途絶リスクが懸念されている。NEDOは同事業により、日本国内での資源循環ルートを構築し、重レアアースの安定確保に寄与する考えだ。
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