入れ損ねても仲間がカバー、2台の人型協働ロボットが食材盛り付け連携:FOOMA JAPAN 2023
アールティは「FOOMA JAPAN 2023」において、人型協働ロボット「Foodly」を使ったデモンストレーションを披露した。
アールティは「FOOMA JAPAN 2023」(2023年6月6〜9日、東京ビッグサイト)において、人型協働ロボット「Foodly」を使ったデモンストレーションを披露した。
食品製造工程の中でも盛り付け工程は、多品種少量生産や不定形かつ多様な食材の認識、複雑な作業が必要なことから自動化が難しい領域とされてきた。ただ、人手不足の波は押し寄せており、早急な効率化のニーズが高まっている。ロボットに置き換えることで省人化に加え、異物混入のリスクを低減し、衛生管理の向上などにもつながる。
Foodlyはアールティが開発、製造している双腕型の協働ロボットだ。本体サイズは高さ1530×幅400×奥行450mmと小柄な成人ほどの大きさで、頭部と胸部にカメラが搭載されている。ディープラーニングを活用したAI(人工知能)ビジョンシステムにより、頭部のカメラで番重などにばら積みされた食材を一つ一つ認識してピッキングし、胸部のカメラで弁当箱やトレイなどの容器を認識し盛り付けることができる。
最大可搬重量は片腕で500g。ハンドは食材に合わせて交換可能で、つかむ強さも自動で調整される。キャスターが付いており、移設は簡単でレイアウト変更に柔軟に対応する。協働ロボットとして柵を設けずに人と並んで作業することができる。
会場では2台のFoodlyを使った盛り付けのデモンストレーションを披露した。1台がばら積みされた食材をつかみ、コンベヤーに流れてくるトレイに盛り付けていくが、そこでわざと食材を入れ損ねたトレイも次工程に流す。すると、コンベヤーの中央に設けられたカメラが空のトレイを認識し、もう1台のFoodlyが運ばれてきた空のトレイだけに食材を盛り付けることに成功していた。1台なら1時間当たり700〜800食の盛り付けスピードも2台が連携することで約1.5倍の1時間当たり1200食まで向上するという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ユニバーサルロボットが送り出す第3世代の協働ロボット、製造工程なども見直し
ユニバーサルロボットは「FOOMA JAPAN 2023」において、最大可搬重量20kgの協働ロボット「UR20」によるパレタイジングのデモンストレーションを披露した。 - 冷凍フライ投入システムを初披露、山積み状態でも材料を的確に認識
デンソーウェーブは「FOOMA JAPAN 2022(国際食品工業展)」(2022年6月7〜10日、東京ビッグサイト)において、協働ロボットを使った冷凍フライ投入システムを紹介した。人協働ロボットによる自動クレープ調理システムも出展した。 - “使えない協働ロボット”打破へ、「COBOTTA PRO」で目指したもの
デンソーウェーブは2022年3月に協働ロボットの新製品「COBOTTA PRO」シリーズを発表。新製品の紹介を含めて商品説明会「DENSO Robotics Expo 2022」を東京、大阪、愛知の3会場で展開した。高速動作が可能で簡単に使えることが特徴の協働ロボットの開発のポイントについて、デンソーウェーブ ソリューション事業部 FAシステムエンジニアリング部 部長の澤田洋祐氏に話を聞いた。 - 事例で振り返る協働ロボットの使いどころ
成果が出ないスマートファクトリーの課題を掘り下げ、より多くの製造業が成果を得られるようにするために、考え方を整理し分かりやすく紹介する本連載。第14回では、「使いどころを探すのに苦労する」という声の多い協働ロボットについて、実際の事例をベースに紹介します。 - 協働ロボットはコロナ禍の人作業を補う手段となり得るか
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による混乱は2021年も続きそうな兆しを見せている。製造現場でも人の密集や密閉空間による作業が制限される中、これらを回避するために人作業の一部を代替する用途で期待を集めているのが協働ロボットの活用だ。2021年はコロナ禍による働き方改革も含め、製造現場での協働ロボット活用がさらに加速する見込みだ。 - 3Dカメラによる移設容易なコンベヤートラッキング、ねぎをつかむ独自ハンドも
豆蔵は「第7回 ロボデックス」において、ビジュアルコンベヤートラッキング技術を用いて食品工場の自動化ラインに模したデモンストレーションを披露した。 - 安全柵要らずで省スペース導入可能、人型双腕ロボットの最新モデル
THKインテックスは「TECHNO-FRONTIER 2022」(7月20〜22日、東京ビッグサイト)において、提携するカワダロボティクス製の人型双腕ロボットの新モデル「NEXTAGE Fillie」を展示した。