ユニバーサルロボットが送り出す第3世代の協働ロボット、製造工程なども見直し:FOOMA JAPAN 2023
ユニバーサルロボットは「FOOMA JAPAN 2023」において、最大可搬重量20kgの協働ロボット「UR20」によるパレタイジングのデモンストレーションを披露した。
ユニバーサルロボット(Universal Robots)は「FOOMA JAPAN 2023」(2023年6月6〜9日、東京ビッグサイト)において、最大可搬重量20kgの協働ロボット「UR20」によるパレタイジングのデモンストレーションを披露した。
2022年に発表したUR20は同社のラインアップで最大の可搬重量を誇り、リーチも最長の1750mmとなっている。質量は64kgで軽量、省スペースでの設置が可能だ。標準TCP(ツール・センター・ポイント)速度は2m/sと従来機の1m/sから大きく向上した。
同社では当初、最大可搬重量5kgの「UR3」や同10kgの「UR10」、同5kgの「UR5」などを展開。その後、第2世代としてe-Seriesを開発し、製品名にeを冠した「UR3e」「UR5e」「UR10e」などを投入してきた。
今回、UR20にeを冠していないのは「第3世代の位置付けとなり、新しい世代の製品として内部の設計を完全に0から見直したため」(同社の説明員)という。
部品点数は従来機より半減しておりメンテナンス性が向上した他、各軸のギアユニットやモーターを見直すことでトルクも向上し、動作速度の向上につながった。独自のOSである「POLYSCOPE」も新しくなっており、7軸の制御など新たな機能が加わっている。「これだけ新しくなった製品を出すのは初めて」(同説明員)。
UR20は製造工程の自動化をより進めるため、一方向からだけで組み立てができるようにするなど、作り方も見直しを行っている。
従来機では軸の部分に付いていた青色の蓋を外して内部を確認できたが、UR20に付いている青色のカバーはデザイン上のものだ。2023年6月から各国のユーザー向けに出荷を開始する予定となっている。
会場のデモンストレーションでは1100×1100mmの2枚のパレット間で昇降機を使うことなく段ボールのパレタイジングを繰り返す動作を披露した。ハンド部分で吸着を行っているのはドイツのSchmalzの真空グリッパで、真空発生器とソレノイドバルブが内蔵されているため、真空発生器を用意することなく、圧縮エア用ホースと電気配線を接続するだけで使用可能となっている。
その他、コンベヤートラッキングとAI(人工知能)画像処理を用いた高速ワーク仕分けシステムや、ラベラーから吐き出された商品ラベルをポリ袋に張り付けるラベル張り自動化システムのデモンストレーションを披露した。
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