産総研がバイオマス由来の2種のプラスチックから透明なフィルムの新素材を開発:材料技術
産業技術総合研究所と科学技術振興機構は共同で、バイオマス原料で生分解性を持つ2種のプラスチックを合成し、透明なフィルムとして成形できる新素材を開発した。引き伸ばすほど強度を増す性質を持つ。
産業技術総合研究所(産総研)は2023年5月19日、科学技術振興機構と共同で、バイオマス原料で生分解性を持つ2種のプラスチックを合成し、透明なフィルムとして成形できる新素材を開発したと発表した。
今回の開発では、両末端にアミノ基を導入したポリブチレンサクシネート(PBS)とカルボキシ基を導入したポリアミド4(PA4)を、100℃で1時間、縮合剤の共存下で反応させた。これによりアミド結合を形成し、PBSブロックとPA4ブロックが、交互に繰り返し結合したマルチブロック構造の高分子を共重合することに成功した。マルチブロック型共重合体とすることで、フィルム形成が可能となる。
また、PBSとPA4のブロックの長さによりに、フィルムの透明度や引張強度が変化することも明らかとなった。どちらか一方でもブロック長が長い場合は、ブロック同士が集まりやすく、結晶を形成してフィルムが白濁しやすくなる。一方、ブロック長が短いPBSとPA4の組み合わせは、透明度が高く、元のフィルムの約4.5倍にまで伸びる性質を持ち、伸長に伴い強度が向上することが確認された。
新素材は、引き伸ばすほど強度を増す性質があり、そのまま使えば軟らかく割れにくいフィルム、引っ張ってから使うと硬いフィルムというように、同じ材料から異なる強度や柔軟性を持つフィルムを作成できる。今後、産総研は、この手法を多様なニーズに対応できる新たなバイオマス由来プラスチック材料の開発に役立てる考えだ。
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