災害時に給電する電動車、どこに何台派遣? トヨタがマッチング:人とくるまのテクノロジー展 2023 横浜
トヨタ自動車は「人とくるまのテクノロジー展 2023 横浜」において、災害時に避難所などへ電動車が駆け付けるためのマッチングシステムを紹介した。
トヨタ自動車は「人とくるまのテクノロジー展 2023 横浜」(2023年5月24〜26日、パシフィコ横浜)において、災害時に避難所などへ電動車が駆け付けるためのマッチングシステムを紹介した。どの避難所に何台の電動車が必要か、どこから電動車を派遣するかをマッチングする。現在実証中だ。
外部に給電する機能と一定の容量の駆動用バッテリーを持つハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)は、電源車として災害時に活躍することが期待されている。自動車メーカーや地元の自動車販売店と、電動車の利活用に関する協定を結ぶ自治体も多い。
災害時に必要な物資を集める手配は、電話やFAXによって関係各所に物資の有無を尋ねるところから始まり、複数の連絡先に順番に問い合わせ続けることもあるという。トヨタ自動車のマッチングシステムはどこで何台の電動車が必要かを入力すると複数の関係者に一括で協力を要請。そのためのアプリを開発中だ。
提供できる電動車はアプリを通じて登録する必要がある。その要請に基づいて避難所までの距離などを勘案してマッチングし、必要な避難所へ要請した台数の電動車が電源供給に向かうことができる。追加の支援を求めることも可能だ。
1台の電動車でどのくらい電気を使えるのか、自治体の担当者がイメージできない場合もある。避難所の人数や電気を使う用途などに合わせて必要な電動車の台数の目安をまとめたマニュアルを用意し、的確に要請できるようにする。
マッチングシステムは開発中で自治体と実証を進めており、トヨタ自動車だけでなく三菱自動車も参加した実証を行った例もある。また、販売店に限らず、社用車などで電動車を保有する企業にも参加してもらう体制としていきたい考えだ。バス会社が参加すれば大規模な避難所に燃料電池バスを派遣することもできる。
早ければ2024年にも自治体単位で稼働できる見通しだ。災害時のオペレーションの検証はできておらず、平時の実証のみなので、急な拡大には慎重だ。連携協定を結んだ自治体から少しずつ導入していく。
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